28話
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が、サナリィの社員の整備服でも初々しさを感じさせる一団がやや慌ただしく動いていた。
「あれ、なんです?」
「ここにサナリィの支局あるだろ? メカニックの育成のために新人教育してくれって」
なるほど、と頷く。初々しい整備服や、素早く動いていくベテランたちに引っ張られるように動いていく様は新人故に、か。
その一団の中から1人、こちらを見た小柄な新人がパタパタとこちらに走ってくる。
「ガンマ班、完了しました!」
ビシッと敬礼しながら、その新人が威勢のいい声を張り上げる。案外甲高い声に目を丸くした。その小柄な新人は、女性だったのだ。
おう、とヴィセンテが敬礼する。ほっとしたような顔をした女性、というより少女とすら言って良いその新人がクレイのほうを不思議そうに見やった。
帽子の下から窺い知れる蒼い深海はどこまでも澄んでいた。帽子をかぶっていて窺い知れないが、鎖骨のあたりまで伸びる長い揉みあげがあどけなさを感じさせた。可愛かった。
「エルシー・プリムローズ・フィッツジェラルドです。エルって呼んでください」
ぴょこんと頭を下げる。顔を上げた少女はどこか戸惑いがちだが、はにかんだ笑みが好印象を抱かせた。年は18……もう少し下だろうか?
何故か、少女の顔とエレアの顔がだぶった。どこか儚げなエレアに対して、健やかな顔立ちは正反対の可愛らしさな気がするのだが―――? ふと感じた違和感を隅に追いやり、クレイは背筋を正すと敬礼した。
「666のクレイ・ハイデガー少尉です。よろしく」
「クレイがあのガンダムのメインパイロットなんだぜ?」
ヴィセンテが肩を叩く。声の調子はどこか讃えるようにも聞こえ、多少の気恥ずかしさと誇らしさを感じた。
エルシーが感嘆の息を吐く。
「もうちょっと厳つそうな人だと思ってたけどなんだかひ弱そうだなぁ」
貶しているのか褒めているのか。はっとしたように目を丸くしたエルシーは、慌てたように「もちろん褒めているんですよ」と愛想笑いをした。
「あのガンダムのスラスターとバーニアの吹かし方とか関節のダメージとかを見てると強引に挙動を取らせてるように見えるなーと思って」
あぁ、と頷いた。
実際エルシーがクレイの戦闘の映像を見たかどうかは知らないが、なるほど機体のダメージの蓄積部位を見ることで操作の癖を見抜くことは出来るということか。幼い見た目にして中々深い見識を持っているのかもしれない。
だが、ヴィセンテはどうやら違う会見を持っているようだった。腕組みしたまま、意味深な笑みを浮かべていた。
「エル、お前ジゼルの《ガンダムMk-V》のデータは見たか?」
「うーん見てないかな…? 機密の関係とかで」
「そういやそうだな。確かにジゼルの1番機と比較すると負荷のかかり方は多いんだが、《ガンダムMk-V》その
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