26話
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の如く舞い散る。
判断:敗北―――否。
別な解の直観、奔る視線。
全天周囲モニターの中で《ハイザック》が返す刃を意思する。
スラスターリバースした巨躯が掬い上げの斬撃を皮一枚で躱し―――巨大な玄翁で殴打されるような衝撃が背を襲った。
不運(・・)にもデブリに追突した―――ギーゼルバッハ部位の破損とともにつんと液体が鼻から噴き出す感触の中、《ハイザック》がビームサーベルを掲げ―――。
くるりと半身を翻し、背後にビームライフルを放った。亜光速のメガ粒子は、その射線上にあったインコムを正確に撃ちぬき、鉄くずへと変えた。
(やられたフリして背後から殺ろうってタマなんだろーが、残念だったね。気づいてんだよ)
女の声、だった。
ビームライフルを投げ捨てた《ハイザック》がサーベルを両手で握りこみ、スラスターを全開にする。
直撃まで4秒。
―――4秒:渇いた唇の皮を歯で毟った。
―――3秒:《ガンダムMk-V》がビームジャベリンの柄の中ごろから、端のほうに握り返す。
―――2秒:熱した冷たい単眼がクレイを容赦なく睨みつける。
―――1秒:顔の随意的表情筋が緊張し、口角が吊り上がる。
―――0秒:
(―――何!?)
奔る閃光、掠める灼熱。彼我距離0の境界線に、閃光の槍が迸った。遥か遙遠から飛来した数千度の粒子の束を、されど察知した《ハイザック》が後ろに身を捩って回避する。
ぎょっと目を見開く。
それすら避けた―――だが、冷徹な思考が全身の神経の撃鉄を打ち鳴らす。
「悪りぃな、俺の勝ちだ―――!」
手負いの人狼が血色の瞳をぎらつかせ、獰猛な牙の閃光と共に咆哮を激烈させる。
(―――負けるかぁ!)
得物を刺突するタイミングは、一瞬だけクレイが先だった。20mのリーチぎりぎりに保持されたハルバードの切っ先は、サーベルが届くより先に《ハイザック》の白無垢を真紅に染め上げた。
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