26話
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リンクを一瞥―――その瞬間ロックオン警報がけたましく鳴り響き、ぎょっとしたクレイは咄嗟に回避機動を取らせる。半身だけ翻した《ガンダムMk-V》の脇をメガ粒子の矢が掠めた。ひやりと背筋を冷たいものを流れた。
(おい、豆鉄砲に当たって死ぬなよ?)
「わかってるよ! くそ、俺ばっか狙いやがって」
(人気者だね)
(中尉、誰かにとられちゃうかもしれませんよ)
(えーやだよやだよ! クレイはわたしのものなんだから)
(聞いたかよ? お前も随分大人になって、お兄ちゃん嬉しいよ)
立て続けに正面から屹立する光軸をなんとか躱し、躱しきれないものを左腕のシールドでいなす。さらに高機動戦闘をしながら応射も、と正直それだけでクレイは精一杯だった。集中して狙われているわけではないとはいえ、ぴたりとクレイの挙動をトレースする攸人とエレアに舌を巻く。
「だ、誰がお兄ちゃ―――おわ!?」
またも寸で―――ではなく、ダメージコントロールの警告ウィンドウが立ち上がり、左脚への微細なダメージを知らせた。
(エイジャックスよりダイヤモンド03左脚被弾。損害軽微)
慣れないことはするものではない―――軽口一つ叩けない自身に歯を食いしばりながらも、取りあえず無駄口を叩くのはやめることにした。
それにしても面倒な相手だ、とデブリが群れる宇宙の向こうを一望した。インコムの射程ぎりぎりからという遠距離砲撃の割に射撃精度は決して悪くない―――むしろ良いといっていい。
舌打ちする。侮っていたわけではないが、もう少し楽に済むと踏んでいた己の浅慮に嫌気がさす。
(そろそろノるか。03、抜かるなよ?)
「あぁ了解。そっちこそ落とされんなよ」
(当然! 02、行きますよ!)
エレアが頷く。スラスター光を一際大きく迸らせた2機のΖ計画機がデブリを縫うように猪突する。それに合わせるようにクレイもスロットルを全開に叩き込み、フットペダルを踏みぬく勢いで操作。同時に視線入力により《ガンダムMk-V》の存在意義(テ―トル)たる準サイコミュ武装インコムを起動させた。
スラスターを焚けば、《ガンダムMk-V》の運動性能は《ハイザック》を遥かに凌駕する。デブリを潜り抜け、メガ粒子を飲み込んだ至近の資材が爆ぜるのも意識からは外し、その白無垢の敵機を血染めにせんとバックパックからインコムを2基射し―――。
俄かに―――正確には予想より僅かに早いタイミングで、レーダーにブリップが点灯すると同時にロックオン警報のビープ音がけたましく鳴り響いた。
即座に状況判断―――敵機、2。上方、下方にそれぞれ1―――E型とES型の垂直挟撃。
思考の錯綜。舌打ち。
ES型の《ハイザック》がロングバレルのビームライフルからメガ粒子砲を吐き出すより前に、クレイはシールドの炸裂ボルトを起
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