26話
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ックのドリンクを飲みほす。そのゴミをヴィルケイに預けると、クレイはガントリーに蹲る漆黒の《ガンダムMk-V》のコクピットハッチに手をかけ、滑り込むようにして一気にシートに腰を下ろす。
宇宙空間の全天周囲モニター式コクピットは搭乗が楽だ。口元を拭ってヘルメットを装備し、自分の道具としてしっかり固着した操縦桿とコクピットシートの感触を確かめる。ある程度クレイの身体に合わせて調整されていても、やはりわずかな感覚にズレが生じるものだ。そのいつも通りの作業と並行して、機体の主機のアイドル出力で起動させ、その他もろもろの些末なチェックも済ませる。全天周囲モニターも起動し、周囲の映像を投影する―――と、キャットウォークにまだいるヴィルケイがひらひらと手を振っていた。
(んじゃあ頑張れよ〜)
機体の外部集音マイクがヴィルケイの声を拾う。流石に外部スピーカーでわざわざ言うまでもないが、代わりに《ガンダムMk-V》のデュアルアイの光通信で応答する。
(エコネ少尉、早く格納庫から退避してください。死にたいですか?)
(今行くよ! んじゃあな)
人差し指と中指だけで敬礼したヴィルケイがそそくさと無重力を泳いでいくのを流し目で見ながら、クレイもまたバイザーをおろし、《ガンダムMk-V》のコクピットハッチを降ろす。
思えば、初めての教導だ。それまでももちろん戦技研究等の仕事はしてきたが、やはり教導隊は教導をしてこそであろう。その優れた技術を遺憾なく発揮する場であり、本領を発揮する場でもある。第666特務戦技評価試験隊自体はUC.0094年の連邦軍再軍備計画に先駆け、元から存在する教導隊と試験部隊を併合した比較的新しい部隊だ。一年戦争時代からサイド3にある戦術機動教導群は一年戦争以前からある部隊だし、連邦軍にはそれこそ旧暦から続く教導隊すらある。だが、やはり教導を旨とする部隊にはそれにふさわしいだけの誇りと栄誉がある。末席とはいえ部隊に名を連ねるものとして、配属されたばかりなどという言い訳は効かない。
肺一杯に酸素を吸い込み、身体の緊張状態を軽く解きほぐす。
理念だけではない―――グローブ越しに自身の右手を注視し、握っては開いてを繰り返しす。
それは誇りなのだ。クレイ・ハイデガーにとって、教導隊にいることは、己の存在証明を立証する数少ない解法なのである。
(ガントリー解放完了。ダイアモンド03、カタパルトに機体を接続させてください)
「08…03、了解」
何十回と行ったオートパイロットへの移行作業を行う。間違いなく無重力下を歩行する《ガンダムMk-V》の母胎に揺られること数秒、HUDに接続完了の表示が立ち上がる。
「03、カタパルトの接続完了」
(エイジャックス了解、進路クリア。出撃せよ)
(了解。ダイヤモンド03、ブラスト・オフ!)
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