24話
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がら懐かしい笑みを浮かべていた。
※
「あぁもう、あいつらなんなのよ!」
激しくジョッキを打ち付ける音が店内に響く。ぎょっとした観光客らしい客が振り返る素振りにすら苛々する。いつものことですから、と宥める店員の姿には業腹だが、見境なく暴れるつもりはない。趙琳霞はいつもの席に座りながら、もう一杯の酒を、大声で要求した。
「まぁまぁそう怒鳴らないで」
「あぁ!? いつアタシが怒鳴ったよ!?」
隣に座っていた同僚の鳩尾めがけて右のストレートをぶっ放す。ぐえ、と悲鳴を上げながら崩れ落ちていく仕事仲間が「今だろ…」となんだかよくわからない言葉を残したが、特に気にしない気にしない。
腹いせにつまみのカルパスをむしゃむしゃと喰う―――いつも通りの不味さだ。サイド3の飯の不味さは慣れなければ苦痛でしかない。『タイガーバウム』に住んでいる連中は羨ましい限りだ。あそこの飯は例外的に旨い。
「まぁムカつくってのはわかるけど。そんなに言うほどか? 元々負けて当然みたいな相手だろうに」
もう一人、テーブルを挟んで正面に座る同僚が皿に山盛りになったフライド・ポテトを口に運ぶ同僚がぼそぼそと喋る。さしてアルコールを摂取していない癖に泥酔したように顔を真っ赤にしている。酔うと喋らなくなる質の男だった。
こういう向上心の無さに腹が立つ―――が、ジオン共和国の国防軍なんてこんなもんだ、と言ってしまえばそうなのだ。『風の会』の会員ではないMSパイロットの志気の低さ―――まぁ、と並々と注がれた白ビールを胃の中に押し込みながら、思う。一部の、というより、少なくない気違いとすら呼べる愛国者どものようにトチ狂うよりはマシだ。
ジオン共和国に住む人間として、ネオ・ジオンを信奉したいという気持ちが琳霞には理解不能だった。0083年のデラーズ紛争、0088年の第一次ネオ・ジオン抗争、そして続く第二次ネオ・ジオン抗争。今更腐った精子ほどの価値もないジオン公国の理念とやらのせいで、どれだけ酷い目にあってきたのか―――早々と飲み干すや否や、盛大にテーブルにジョッキを叩き付け、もう一杯を先ほどよりもさらにデカい声で要求した。今日は苛々が多すぎる。
ふん、と鼻を鳴らしながらフライド・ポテトを口に放り込む。合成タンパクはクソ不味いが、野菜類―――特に芋は旨い。ただちょっと味気が薄すぎやしないか、というのは不服だが。
「あたしは別に負けたことが嫌なんじゃないわよ―――まぁ負けたのもアレだけど」
「んじゃあなんだよ?」
特に話に興味があるわけではない―――半ば条件反射的に会話を続けているであろう男に今更不服は抱かない。
「嫌いなの」
「あ?」
「嫌いな奴がいるの、あの部隊に!」
思い出すだけで業腹だった。ちょうどビールを
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