23話
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エレアが落ちないようにしている上官思いな行動であるので―――。
「まぁリアルに虐殺だよな、これ。機体の質も、整備状況も、パイロットの練度もダンチだし。数的優位って言ったって《FAZZ》相手に《ハイザック》じゃあな」
眼前のモニターで繰り広げられる映像に対しての感想は、攸人もエレアと同じらしい。デスクに頬杖をついた格好の攸人の声は、興味の一滴も感じさせないほどに乾いていた。
そんなんで『小隊長』が務まるのかよ―――と思いはすれども。その分自分がカバーすればいいだけのことだし、神裂攸人の人となりを正確に理解している自負はある。つまらなそうにしてはいるが、その深い洞察が次なる臨時小隊『ダイヤモンド』の小隊長として、相手の弱点を炙りだしているに違いない。
―――臨時小隊。教導隊に入るほどの腕を持ちながらも未だ実戦経験が浅い攸人とクレイの経験になるだろう、ということと第4世代機対応のための教導ということで、普段とは違う編成で教導に当たることになったのだが、それはまぁ、良い。攸人とクレイの経験値が上がることは個人にとってだけでなく、『ゲシュペンスト』に―――ひいては連邦軍の利点に、とまで言うとやや誇大に取りだろうか。とにかくメリットの多いことは間違いない。
クレイとしても当然快く引き受けたいところ、なのだが。
臨時小隊としてのブリーフィングに集まった人員を見れば、少し不安を覚える。
攸人にクレイにエレアの3人。眼前のモニターの殺戮ショーを演じたクセノフォンもこじんまりとしたブリーフィングルームにいるが、彼はあくまでオブザーバーとしているにすぎない。
腕、という点で見れば何も問題ない。攸人の腕は天才的だし、エレアは言うに及ばず。クレイ自身としても、この2人に比べれば劣るという自覚はあるが卑屈や謙譲ではなく、先入観を極力排した明晰な眼差しで比較した上での理解だ。そして、その明晰な視線は己が技量の程度をも理解している。形はどうあれ、凄腕揃いの部隊に居るという自負とプライドは、ある。
ただ―――機種が。
《ハイザック》を対MSミサイルで叩き落とし、副砲の連装ビーム砲で蒸発させる愚鈍そうな見た目の《FAZZ》の様に目を眇めながら、漠と想像する。
2機が可変機で1機はオーガスタ出身のアヒルの子。《リゼル》と《ゼータプラス》はともかく《Mk-V》は―――。
大画面の中で最後の《ハイザック》がオーウェンの《FAZZ》に肉迫し、ミサイルの弾幕をフレア・ディスペンサーでやり過ごして猪突。至近からの連装砲の砲撃をも回避して見せ、我こそは《FAZZ》に一矢報いらんとした瞬間―――。
真空ですら音が聞こえそうなほどの閃光が爆発した、と思ったときには、《ハイザック》の矮躯が《FAZZ》最大の火砲たる出力79.8MWのハイパー・メガ・カノンが轟かせた
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