18話
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ることにした。ぎこちない笑みは、たぶん暗がりのお蔭で悟られていないと思う。
「今のご時世槍が使えるパイロットなんて酔狂ぐらいなものだからな」
「カルナップ大尉はご存知だったんですか?」
「ハイデガー中佐のご子息の上、本人がやたらと生真面目な男だから使えるだろうなとは思っていた。まぁ、双槍の使い手とは思わなかったが」
峻烈さは身を潜め、苦笑いを浮かべたフェニクスに少し安堵の溜息を吐いた。
「それにしても、『おばさん』はなんで今更槍型の兵装の試験なんてやりたがるのやら」
呆れたように言う―――もっともだ、とモニカは思う。
MSの近接格闘戦闘兵装はほとんどサーベルが主流だ。理由を述べれば細々した話になるから敢えて省くが、宇宙世紀0094年においてわざわざ槍状兵器が使われることは極めて稀である。
無論、利点はあるのだが―――その利点のために、とはいえ『あの機体』にわざわざ必要な物には思えない。
「―――気に入らんな」
腕を組んだフェニクスが小さく嘯いた言葉が鼓膜に突き刺さる。
ジオン共和国出身のフェニクスにとって、『例の計画』の存在には心穏やかじゃないものがあるはずだ。ジオン出身でありながら連邦の軍人であり、『財団』とサナリィのために滅私に終始する彼女の心情は―――。
まさか。
モニカは、ふと思い浮かんだ考えを払拭するためにも。モニターの映像に廻向専心に努めることにした。
「宇宙で黒は目立たないな。いっそ目立つ色にでもするか」
あずかり知らぬフェニクスの暢気な声が、はっきりと耳朶に触れた。
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