15話
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うだろう男である。そんな男だが、MSの操縦においては力づくな機動制御が多い。無論だからといって下手くそな操縦でない、ということは、今のクレイの立ち位置と士官学校での来歴を鑑みればわかることであろう。 それでも、無理やりな操縦が多いことは確かで、それだけ機体に余計な負荷をかけるのだ。量産機なら別に荒い操縦でも構わないが、クレイの乗る機体はそう数が多くない。《ガンダムMk-X》が追加生産され、サナリィに供給されているのも相当政治的根回しだのなんだのを経た故なのだ。整備性については劣悪とまではいかないが、他部隊でも運用していることを鑑みれば、「ゲシュペンスト」にだけ部品の供給をするわけにもいかない。クレイに要求されるのは、高度な技術以上に繊細な操縦なのだ。
「ま、お前の荒っぽい操縦もある程度原因だがな」
意地悪く破顔してみせる。無論、これとて気づかいの一旦なのだろう。自省癖の強いクレイであれば、生半可な優しさはむしろ毒になりかねないということを既に熟知している。
「まぁそういうことだ。あと隊長から、オーバーホールついでに休暇だと。お前休みなのにずっと仕事してるから心配してたぞ?」
自動販売機から缶ジュースを買いながら、世間話ついでにヴィセンテが言う。
「隊長が?」
フェニクスの顔が浮かぶ。凛という言葉が誰よりも似合う彼女はそれこそ隊長だ。部下一人の体調管理にも神経質になって当然。まだ30になったばかりの彼女には、中隊長という席はクレイの想像以上の重圧との戦いのハズである。
「わかりました」
「正式な通達があるから、後で隊長のところにも寄っておけよ」
ええ、と頷く。フェニクスに謝意も含めて謝らなければならないなと思った。
「じゃあ俺はもう行くから―――っとそうだ、そういうわけだから紗夜借りてくぞ」
「ええー! 私休みだよ?」
「休暇返上だよ。終わったら休ませてやるから」
ヴィセンテに腕を取られた紗夜がじたばたしながら引きずられていく。
恨めしそうな紗夜の目は、これから少しばかり長い休みを貰うクレイに向けられている―――紗夜の休暇を奪ってしまってようで心苦しいのと、その子どもっぽい眼差しに苦笑いした。
引き摺られていく紗夜を見送る。ぽつねんとテーブルに残ったココアの缶が睨んでくるようで、慌てて目を反らした。慌ててコーヒーを口にし―――。
「何、間接キスでもしたい?」
俗っぽい笑みを浮かべたアヤネがそんな爆撃を敢行した。なんとか吐き出す寸前に下を向いたが故に、口からスクランブルした黒茶の液体はSDUを汚すだけで済んだ。
「え、マジで?」
「いきなり変なことを言うからですよ!」
わざとらしい侮蔑的な表情に、せき込みながら抗議の声を上げる。口端に残るコーヒーを袖で拭った。
「だってキミ、ロリコンなんでしょ? だった
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