15話
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顔が熱くなるのを自覚する。今まで綺麗な女の子にそんなことを言われたこともないクレイには、面と向かって格好いいだなんて言われることに免疫がないのだ。
「ジャミトフってあのジャミトフ・ハイマン?」
「そうそう。あたしなんてあのジャミトフがニュータイプについてどうこう言ってるなんて知らなかったよ―――って、そういえばクレイはどうしてあのジャミトフのこと調べの? あの人別に本とか出してないよね?」
ふと思い出したらしいアヤネが言う。
あぁそれ、とクレイは苦笑いした。クレイの論文のもっとも致命的な部分は、そこなのだ。
「俺の母親がジャミトフ・ハイマンと知り合いでして。手紙―――書簡っていうべきなのかな? あの人結構筆まめな人みたいでした。それで俺の家に結構あったりしましたから、それを使えば誰だって書ける内容でしたよ」
「は?」
紗夜とアヤネはぽかんとした表情をした。
「え、なに? クレイって結構有名な人の子どもだったりするの?」
「有名ってわけではないですけど。母さんはティターンズでテストパイロットやってましたからその縁で知り合ったらしいですよ」
はぁ〜と感心したように溜息を吐く2人。親が軍属、という話は珍しくはないが、よもや一つの軍の頂点に立つ人物と知り合いが親族にいるというのは珍しいのだろう。
「でも母親がテストパイロットで息子も軍属でしかもテストパイロットってのも珍しいよね。お母さんに憧れて、とか?」
「いやそういうわけじゃないですよ。母さんがテストパイロットだったって知ったのも最近ですから。軍属なのは知っていましたけど」
「でもなんかお父さんちょっと不憫だね。せっかくの息子さんだからちょっと自分の職が〜って思うものらしいし」
世間話の一環、程度の認識だったのだろう。炭酸飲料が入った缶を呷った彼女はいつものニコニコとした笑みのままだ。紗夜は顔色こそ変えなかったが、少し身を固くしたようだった。
「あぁ、俺父親いないんですよ」
「え?」
「いやまあ生物学上の父親は存在すると思いますけど。俺、養子なんですよ」
「え? え?」
いきなりの話に、アヤネは少し戸惑ったらしい。何を話していいのやら困惑している彼女のさまが面白い。
「戦災孤児っていうんですかね。俺、一年戦争の時独り身になったらしくて。今の母親に拾われたのが一年戦争が終わってすぐで。俺の母さんはそもそも結婚してなかったそうで」
なるほど、と曖昧に頷くアヤネは、されどどこかおどおどしていた。
一年戦争。
地球だけでは収容しきれず、宇宙に棄てることで問題を先送りしなければならなくなったほどに膨れ上がった人口を、高々365日で一挙に半数近く死滅させた地獄。人類の死滅は地球でこそ大々的に語られるが、コロニーとて惨劇は変わらなかった。コロニー内での戦闘
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