10話
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いうものについて疎い人間が見れば、小刻みに機動し、デブリの中を悠々とすり抜けていく様は卓越した技術を感じてしまうだろうが―――。
IMPC―――Integrated Maneuver Propulsion Control―――システム。
教導隊の隊員をはじめとしたエースパイロットのMSの挙動データを蓄積・反映し、MS側でその機体制御を再現することで、誰しもがエースパイロットの挙動を実現できるシステムだ。一部のパイロットからは、人を堕落するシステムなどという理由から、インプなどと揶揄もされている。無論、誰しもがエースパイロットになれるというのはある程度の誇張を含むが、便利なシステムだ。
この故に、この《ガンダムMk-V》の機動を見て、ある程度MSというものについて知っているならば、まぁいい腕をしているじゃない、程度の感想を持つぐらいだろう―――。
前面、右方、左方から降りかかる負荷Gの圧力を感じながら、操縦桿を握る手の力は軽く、されど強く。眼前から迫りくる障害物との相対距離を悉く把握し、繊細に機体の四肢を可動。戦闘速度を落とさずに、デブリの中を潜り抜けていく。
―――違和感。
「いつも通りの違和感」故に、クレイは焦りもせずにHUDに投影された機体ステータスに目を走らせる。
予想していた機体進路よりやや右方向へのズレ―――ちらと右を見る。全天周囲モニターに映る黒金の武装が視界に入る。
数値で記憶していた以上に、感触としては重たいらしいということを味わいつつ、すぐさまバーニアを焚き、機体の軌道を修正する。
(コマンドポストより08、ポイントE2クリア。残り30で戦闘区域に突入する。高濃度ミノフスキー粒子により戦闘区域では通信は行えない)
「08了解、オーバー」
全天周囲モニターの内側、クレイを押しつぶすようにして圧し掛かる負荷Gを身体で感じながら、右方のディスプレイを一瞥する。
問題は、ない。
鋭利な眼球を四方に泳がせる漆黒の人狼が獲物は、沈黙の元に伏せている。
速度は維持したまま、HUDに目を落とす。ちょうど、戦闘区域に入った―――。
その理解の刹那、クレイの耳朶を俄かに赤い音が叩く。ロックオンされた、と理解するとほぼ同時にその方向を確認。左方11時、直上から―――。
歯を食いしばる。操縦桿を手前に引く動作に連動し、身を捩った《Mk-V》の直近を光軸が掠める。
続けざまに鳴る同方角からの攻撃警報を半ば無視し、クレイは左腕のシールドを掲げた。
シールド、と言いながらそれはシールドとしての機能をほぼ放棄した武装だった。ジェガンの攻撃機改修用シールドであるそれは、シールドの半分以上がビームキャノンであり、その上砲身が露出している。シールドとしての機能は無いに等しい産物だが、そもそもクレイは防御用とはみ
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