9話
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引きつらせる。
「ホント不味いですよね、これ」
「はぁ? じゃあなんでそんなの飲んでるんだ?」
「なんででしょうね……」
疑い深い顔を向けられる―――確かに、クレイが何を言っているのかヴィルケイが理解はできなかったであろう。クレイにしても、自分の行動はいつもよく咀嚼しきれていない。
意地汚く、品性を欠いた惨めな意識。
変な奴、というヴィルケイの嘯きを聞きながら、ぐいと力を込め、内容物を押し出す。ストローを登った緑色の魔物が口内に流れ込んだ。
相も変わらず、スッキリした緑茶の味を台無しにする甘ったるい塊が舌に絡まる。どこが美味しいのか、クレイにはちっとも理解できない。
「俺の知り合いにもいるよ。そのグリーンティー好きなやつ」
「そーなんですか?」
「知り合いっつーか、同僚。フランドール中尉はそれ好きなんだよ」
へぇ―――。
エレア・フランドール。どこかの吸血鬼の妹のような名前の上司に、クレイは未だ出会っていない。それ故に、その人物がどんな人物かは霞の中だ。
以前、攸人と語った際に出た強化人間か―――という話も、未だ不明。プライベートを聴くのも憚られる。
クレイの勝手なイメージでは、フェニクスのようなどこか超然としたオトナの女性、といったところだった。
ストローを離し、パッケージに目を落とす。
どうやら、どこか人外のように想像していた上司はこんな物が好きらしい―――面白い話だ。案外、世俗的な人なのかもしれない。
いや―――元々、そんな超然としただけの人間なぞいないのだろう。仮にニュータイプという力を得ていても、それは人間の枠に留まる存在。会ってみれば、そこらへんに歩いている人と変わらないようなもの、というのは当然のことだ。
アムロなんてパンツに下着姿でネットのスレに噛り付いてるような奴だったんだぜ―――昔ちょっとした縁で話をしたジャーナリストが言っていたことだ。
脳裡を掠める彼女の姿。
どこかおっとりした、あの小さな少女。
あんな子だったりして―――。
―――まさか。
ストローを口に含み、今一度反吐の出るような甘美な時間を楽しむ。
「そういや先生はロリコンなんだよね?」
耳朶を打つ女性の声―――クレイは盛大に緑色の固形物を噴き出すと、酷いくらいに噎せた。
咽喉が痛むくらい咳き込み、目じりに液体が溜まる。
「うーん、口から緑色の何かを吐き出してる人間の絵面って中々……」
先ほどの発言の張本人―――紗夜が《ガンダムMk-V》のコクピットカバーからひょっこり顔を出していた。
「なに? お前ロリコンのお兄さんなわけ?」
「いや、まぁ……」
肺を手で扱かれるような狼狽。あるいは、困惑。
ロリコン―――ロリータ・コンプレックス。いわゆる少女趣味。少女愛者。
文化的
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