8話
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気のない鼻息を吐く―――それで終い。落胆は落胆だが、それをうじうじと引きずることもない。クレイが就いているのは、仕事なのだ。各々了解の意を示す中、クレイも了の声を上げた。
「それで今日の予定ですけど、サナリィの方で用意した武装の試験運用の項目を繰り上げることにします」
ずれ始めたメガネをくいと元の位置に上げる。アヤネが8インチほどのタッチパネルを操作すると、それに合わせるようにしてフェニクスが組んでいた手をほどき、右手に持っていたリモコンを操作する。音もなく、フェニクスとアヤネの背後の巨大なモニターが点灯する。
口笛の音が耳朶を打つ。ヴィルケイだろうか? ヴィルケイだろう。クレイも、モニターに投影された物を見て小さく感嘆の声を漏らした。
「システムの名称はN-B.R.D―――サナリィで作っている新概念実証兵器ですね」
New Beam Rifle Device―――新世代のビームライフル、といったところか。少しだけ、部隊の中でどよめきが起きる。
「ガンっていうより、無反動砲って感じ」
ジゼルの呟き。クレイも同じような感想を抱いた。
暫定的に《ジェガン》に装備した図だが、《ジェガン》が肩に担いているその様を見れば、ライフルというより長物の武装と言った方が正しい。
「メガ粒子の弾速とか収束率を高めることで貫通力を高められるって点に注目した武装だそうです。理論そのものは一年戦争初期から考案はされていたそうですけど、当時はそんなことに気を使わなくても十分な火力だったから技術的な進歩も遅かったとか」
「まぁ、当時のMSは対ビームなんてほとんど考慮されていなかったからな。わざわざ貫通性を高めるまでも」
腕を組んだクセノフォンが思い出すように言う。この中で唯一あの「一年戦争」の経験がある人間だ。
横目で、後ろの列の席に座るクセノフォンを一瞥する。
厳つい顔立ち―――年は40過ぎ。どうして、まだ中尉なのだろう?
「で、だ。この装備は予備パーツ含めて2機だ」
フェニクスが部屋を見回す―――。
目が合う。少し、身を委縮させた。
「クレイ。お前がやれ」
反応がワンテンポ遅れた。
「俺……ですか?」
「そうだが、何か問題があるのか?」
「いや、問題はないですが」
問題はない―――唾液を飲み込んだ。周囲の視線が集まるのを感じ、唇が急速に乾いていく。
何故、自分なのか?
クレイ・ハイデガーは自分に自信を持っている。いつだって、クレイは自分の力で未来を切り開いてきた、という自負がある―――無論、本当の意味で自力だけ、という自惚れはないが。
努力に裏打ちされた自尊意識。それは自尊であって、自己愛に浸かっているということとは同意ではない。故に、クレイは自分の実力に自信こそあれ程度というものを十分に理解してい
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