8話
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のメガネが知性と茶目っ気を匂わせる。そしてデスクが並んでいる方に顔を向ければ、初日の連中と同じ面々がずらりと並んでいた。
副隊長のクセノフォンとオーウェンが並んでいる様はボディビルダーかプロレスラーか…ヴィルケイはイタリア男のような笑みを浮かべていた。
クレイはヴィルケイの脇に座る攸人の隣に座った。
「お前なんかあったの?」
攸人が困惑気な顔をする。当然のことだと思った。クレイは割と規律やなんやをかっちり守るタイプの男だからだ。「ちょっとしたテロだよ」と肩をすくめてみせた。
「わけがわからないんだけど」
肩をすくませ、困惑顔を尚更強くする。
別にわかってほしくもない―――それでもいずれわかってしまうんだろうな、とクレイの左に座ったジゼルを一瞥した。
面倒なことになった、と思いながらも、嫌な気分は無い。
「えーっとお、それじゃあ始めますね」
オペレーターの女性―――アヤネが声を上げた。
もう?
クレイは視線を巡らせた。
人員は8人―――足らない。
1人足らない。
1人、足らないのだ。
見知った顔はそろっている―――また、『彼女』か。
「フランドール中尉は、今日もちょっとと事情だが、体調が悪いわけではない」
クレイの内心の疑問にフェニクスが応えた。
慌てて彼女の方を見る。
琥珀色の瞳にはなんの含蓄も見られない。無論、彼女がクレイの心を読んだわけではない。クレイの身振りで、それとなく察知したのだろう。
フランドール…エレア・フランドール、という名前らしい。エレア、という名前を聞いて現代科学の根底をなす原子を思い出すのはちょっと偏った人だ。無論、クレイもその1人―――加えて、クレイは亀とアキレウスが相並んで走るという奇妙な構図を思い出していた。
クレイと攸人がこのニューエドワーズに着任して1週間ほど。未だ部隊の1人に出会っていないという奇妙な事態になっていた。
「えーですから、今日予定されていた《ゼータプラス》と《Mk-V》の比較試験は延期になります」
ちゃかちゃかとタブレットを弄るアヤネは部屋の全員を見回す。くすんだ金色のショートツインテールの下の顔はやや童顔―――アヤネ、という名前だから日系人なのだろうか。紗夜といい攸人といい、日系人が多いことだ。
それにしても、残念だなぁとクレイは思った。
サイコミュ技術―――ニュータイプ、という言葉に対して、あるいはその言葉が含む様々な含蓄に対して心穏やかでない感慨を持つクレイは、そうしたサイコミュ兵器に対してい複雑な感情を抱いていた。
無論、好意的な視線も向ける。今の感慨もそれに端を発するものだった。
サイコミュ技術、と言えば最新鋭の技術だ。それに触れられるというのはそれはそれで興味深い物がある。
お預け。
落胆。
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