6話
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ったらしい。無重力下ならともかく、1G下では、シートに座るまでに曲面のコクピット底面を歩き、そしてシートの台座たる支持アームをよじ登るというなんとも原始的な動作が求められる。
溜息を吐く。同時に、クレイはノーマルスーツのヘルメットを被った。
意を決してそろそろと足を踏み出し―――クレイは、当然の如く滑った。動転する視界の中に一瞬気を取られている拍子に、後頭部を強かに打ち付けた―――が、後頭部にダイレクトな痛みが来ることは無かった。鈍い音とともに脳髄を揺さぶられる感触と鈍い痛みを感じ、顔を顰めながらも、内心ほっとする。
「ヘルメットが無ければやばかったな……」
それでも鈍く痛む頭をヘルメット越しに抑えながら、倒れた体勢のままずるずると支持アームへ滑っていく。パッと見なんとも非科学的な光景であるが、それが最善と言うなら仕方ない。
やっとの思いでシートに身を下ろすと、クレイは操縦桿を握り込んだ。
前面に設えられたHUDに映る機体ステータスをチェック。ヴィセンテのチェックがあるから大丈夫だとは思うが、それを全面的に信頼して自分の仕事をしないというのは問題外だ。
ディスプレイを手でなぞる。全天周囲モニターの調子も問題はない。異常なし、と判断すると、示し合わせたように無線通信のコール用にプリセットされた音が耳朶を打つ。みょうちきりんな音とともに通信ウィンドウが多目的ディスプレイに小さく立ち上がる。操縦桿の操作で回線を開くと、機内カメラには既にヘルメットを被ったジゼルの姿が映った。
(ゲシュペンスト07、準備できたよ)
ジゼルの声に合わせるようにして、正面ガントリーに収まるもう1機の《ガンダムMk-V》のデュアルアイが閃く。
漆黒を主体に、淡い蒼と明灰で構成された幾何学模様の迷彩―――スプリッター迷彩に塗り染められたクレイの2番機と異なり、ジゼルの乗る《ガンダムMk-V》は、ダークイエローにダークレッド、ダークグリーンで構成された陸戦迷彩を施されていた。
ダークマター覆う宙間戦闘かつミノフスキー粒子散布下の有視界戦闘が主舞台の戦場にあって、視認性は重要なウェイトを占める。そんな中、ジゼルの乗る《ガンダムMk-X》の塗装は目立つばかりだが、この場合むしろジゼルの迷彩は目立つために施されていた。
「ゲシュペンスト08、こちらも完了」
(CP了解。ガントリー解放します、整備兵は退避してください)
クレイも無線越しに連絡すると、《ゲシュペンスト》のCP将校を務める女性の硬い声が返る。
がこん、という金属同士が軋む音と共に振動が生じる。《ガンダムMk-X》の前面に掛っていたキャットウォークが真ん中から割れ、前面に向かって折れていく。その光景を見届けると、
(ガントリー解放確認。第2小隊第2分隊、出撃してください)
(了解。ゲ
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