3話
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価試験部隊で働いてもらおう。詳しい説明は事前の資料が渡してあるとは思うが、カルナップ大尉―――666の隊長から話を聞いてくれ」
ハミルトンが目くばせする。例の、黄金と漆黒が混じり合った長髪の女性が頷くと、「フェニクス・カルナップだ」と軽い敬礼をしてみせた。
「司令も仰ったが、第666特務戦技評価試験隊の隊長をしている」
落ち着いた風な、雅な声色だ。二人も敬礼を返すと、フェニクスがハミルトンを見やる。
「では、我々はこれで失礼します」
司令が首を縦に振るのを確認すると、フェニクスは今度は司令に敬礼。踵を返したフェニクスの琥珀色の瞳がクレイと攸人を見ると、目で合図―――行くぞ、と暗に言う。
「失礼しました!」
固い敬礼と共に声を張り上げた攸人につられ、クレイもそれに倣う。脇を通り過ぎるフェニクスに続き、クレイと攸人も後を追った。
※
自動ドアが閉まる―――部屋の内装を知れば、本当に大仰な話だ。呆れにも似た感情を共にその扉を眺めていると、「司令の趣味だ」と女性の声が耳朶を打った。
「扉を大きくするのが好きらしい」
「変な趣味ですね」
攸人が苦笑いすると、本当にな、とフェニクスも苦笑いを浮かべる。30代前半ぐらいだろうか。妖艶という形容が似合う容貌だが、子どもっぽい笑みが良く似合う女性だ。
咳払いを一つ。笑みを潜ませ、凛然とした顔つきになるのを見とめると、クレイも口を堅くした。
「さて―――改めて、貴様らの隊長を務めることになるフェニクス・カルナップ大尉だ。よろしく」
すっと伸びる手が攸人に伸びる。「神裂攸人―――いえ、ユート・カンザキ少尉です」と応じた攸人が手を差し出し、握手に応じた。
「ニホンの出か?」
「はい。ご存じで?」
「それはまぁ、色々と有名な国だからな。知らん奴のが少ないだろう」
攸人との握手を終えたフェニクスの瞳がクレイに向く。
狼みたいだ、と思った。健やかな、艶やかな髪。その金にも琥珀にも見える、透き通るような瞳。狼の群れを従える首魁―――とはいえ、名前は『不死鳥』だが。
「クレイ・ハイデガー少尉です」
声が上ずる。確認するように「……ハイデガー?」とフェニクスが眉を顰める。
多少の狼狽を感じながら頷き、
「ハイデガーですが……何か?」
「ああ、いや、ハイデガーにカルナップとは大仰な名前が揃ったものだとな」
特に何かあるわけではないぞ、と手を振りながら言外に否定してみせる。少しの間の後、なるほどと理解したクレイも「確かにそうですね」と笑みを浮かべた。
「何のこと?」
攸人はわかっていないらしい―――というかわからなくて当然ではある。「昔の偉い人」と含んだ笑みと共に攸人に言ってやると、奇妙な顔をしながら、あぁ、と頷いた。
フェニクスが歩み始めるのに続き、クレイ
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