第31話 黒の剣士、再会を喜ぶ
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そう言いながら雷は白いコートを着て病室のドアに手を掛け…
「ああそうだ…アスナさん……と言えばいいかな?」
「アスナでいいですよ、お兄さん。」
「ではアスナ…和人のことを頼むよ。見ての通り…頼りない所もあるが、それでも私の可愛い弟分なのでな…」
「はい。頼まれました」
アスナの言葉に満足したのか優しい笑みを浮かべた雷は今度こそ病室を立ち去った
「待ってるぜ。師匠…」
アスナの病院から出た雷は1人だけ人気の無い、薄暗い路地裏を歩いていた。すると
「兄者!」
「……仁九郎か」
雷の呟きと共に影の中から何かが出てきた。しかしその姿は“人”とは言い難いモノだった。腰まで届く漆黒の長髪、どこか修行僧を思わせる僧侶の服、さらに腰に刀、背中に槍を装備していた顔は鴉のような黒い嘴の形をした黒い面で覆われていた。
決定的なのは背中に黒い鴉の翼が生えていた姿だ。
「探したぞ兄者。時間になっても来ないからアチコチ飛び回ったぞ!」
「すまんな…2年ぶりに会った弟子と長く話をしていたからな。許せ」
「まったく……探す方の身にもなって欲しいぞ兄者」
雷が仁九郎と呼ばれた男と話しているとまた別の声が響いた
「ハハハッ!仁の兄貴、そりゃ無理な話だぜ?大兄貴が俺達の言う事を聞いてくれたことがあったか?」
「又兵衛……」
雷が声がした方へ視線を向けるとそこに居たのはキリトと同じくらいの少年がいた。上下は迷彩服、ライフルやナイフを装備した格好だけなら自衛隊の格好をしているだけの人間だと思うだろう……頭に猫の耳と二又の尻尾が無ければ
「いつから居たんだ?」
「そりゃ、最初からだぜ?なのに兄貴たちは全然こっちに気付かないみたいだから声を掛けたんだよ」
「ふん……まぁいい。それで?暗《・》部の部隊長であるお前がここに居るという事は、何か進展があったのか?」
雷の言葉に又兵衛はニヤリと笑うとこう答えた
「流石大兄貴…話が早いぜ」
「いいから、早く報告しろ!」
そう言われた又兵衛はニヤけた顔を正し、真面目な顔で報告した
「実は海鳴市に送った偵察部隊から今連絡が来てな。『“闇の書”が起動した』って話だ」
「“闇の書”か……たしかあの本は世界1つを滅ぼす力があるんだったか?」
「ああ、俺もその話を聞いている。で?又兵衛、その闇の書は誰が行くことになった?そんな強力な魔導書、“あのお方”がそのまま傍観するとは思えんが……」
「どうやら闇の書は“夜叉姫”さんの部隊が担当するこ
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