第三章。音速を超えしもの
第七話。遭遇
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、無理矢理暴くのは失礼に当たります。それが許されるのは『主人公』の中でも『探偵』に属する人だけなので」
人の背中に刃物を突き刺すのは失礼に当たらないのか、などと思ったが言えばザクザクなので黙って頷くことにした。
それにしても探偵か。
探偵というとどうしても『あの男』を思い出す。
死んだと見せかけて、生きてるのが当たり前のように描かれている奴だからな。
もしかしたらこっちの世界でも『あの男』の名前を冠したロアとかがいるかもしれない。
「まあ……俺は普通の『探偵』とかは無理かもな」
武装探偵ならやれそうだけど。
「おおお……いい人達だ……」
赤マントは、一之江の配慮に感激して目を潤ませていた。昨日は殺試合をしたような奴だが案外、こいつは本当は純粋でいいヤツなのかもしれないな。
「いい人でしょう。以後、私を崇めなさい」
「え、崇めないよ??」
「では崇拝するといいです」
「スーハイ?」
「尊敬して凄いなー、とか思うことだ」
「ああ、それならOK! ずっと凄いなーと思ってたもの!」
本当単純な奴だ。これから『赤マントはメリーズドールを崇拝している』という噂が流れてしまったらちょっと申し訳ないと思うが。
「時に私は一之江瑞江。こいつはモンジです。貴女のお名前は?」
「うん? わたしはスナオ・ミレニアムよ!」
苗字は凄いが、名前は性格のように素直だった。
というか、ロアっておいそれと名乗っていいんだっけ?
っていうか、スナオちゃんは本名なのか? 一之江も偽名なのだが。
「なんか凄い『主人公』に仕えている雰囲気ですね」
と、そんなことを考えていたら一之江が情報収集を始めていた。
「へへん、そうよ。わたしの『主人公』ってば本当に最高なんだから! そっちのモンジとか変な名前の人よりも10倍素敵よ!」
「その人がコンビニの中いるんだな?」
「い、いいいいないってばさ! ぴゅーひゅるりー」
露骨に目を逸らし、下手くそな口笛まで吹き出した。
「ふむ……で、その主人公さんはどんな物語なんです?」
「うん? ふふーん、聞いて驚かないでよね! わたしの主人公は……」
スナオちゃんは得意げに、かなりもったいぶってから平坦な胸を張りながら答えた。
「『終わらない千夜一夜』よ!」
その名を聞いた瞬間、一之江がもの凄く反応して。
「なるほど、流石です。モンジ、とっとと行きますよ」
大慌てで俺の手を引っ張った。
「あ、ああ……じゃ、またな、スナオちゃん」
「はーい、またねー!」
ぶんぶんと手を振るスナオちゃん。一之江はそんなスナオち
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