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101番目の舶ィ語
第五話。ベッド下の怪人
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だけど……そうじゃないのなら覗いたりはしませんね。先輩に嫌われたくないですし」

「わたしがモンジくんを嫌うの?」

「ええ。というか、何ていうかほら。大事にしたいんですよ、やっぱり。こう……詩穂先輩のこと、ちゃんと。そういう邪なノリとかじゃなくて。ちゃんと」

ああ、クソっ! 自分でも何を言ってるのかよくわからなくなってるが。大事にしたいという気持ちに嘘偽りはない。

「大事に?」

「はい。だって、詩穂先輩は俺の……」

大事な人だから、と続けようとして。






______俺の視界の隅に、不意に何かが映った。


……なんだ……あれ?


ソレを見た瞬間、俺の頭はクリアになり、荒かった呼吸が静かになった。
……さっきまで先輩が座っていたソファの下。そこに『ソイツはいた』。
ソファの下なんて僅かなスペースだ。ベッド下なら人一人隠れていたとしても納得できるが、ソファの下なんて数センチしかない。
なのに。
そこに『ソイツ』はいた。

「俺の、何かな?」

先輩は気づいていない。
相変わらず俺に身を寄せて、火照った顔を近づけて、甘い吐息を吐いている。
クソッ! 美少女な先輩がこんな無防備な格好で俺に身を寄せてくれているのに、どうして俺はソファの下なんか気にしなくちゃいけないんだ!
チキショウ!
俺は今ほど『ロア』というものを恨んだことはない。
後にも先にも、きっと今のこの瞬間が一番ロアに対してキレた瞬間だった。


「俺の……大事な先輩なので、一緒にアイスを食べに行きましょう!」

「ほえ、アイス?」

「湯上がりと言えばアイスです! ここに近いコンビニに、俺オススメのアイスが売ってるんですよ。それをぜひぜひ、先輩にも……あの子達にも食べて欲しいので! 行きましょう!」

「ふえ、ほんとうっ?? うん、食べる、食べる!」

「パジャマ姿のままだとアレなんで、ちょっと着替えてきてもらえるかな? 俺とコンビニデートしましょう!」

「ん、りょうかい!」

詩穂先輩は嬉しそうに立ち上がると、パタパタと自分の部屋に駆け込んだ。
そして、先輩の部屋のドアが閉まる。


「つ______づり______あんたって人はああああぁぁぁっっっ??」

俺は先輩やご近所さんに配慮して、小声で絶叫した。
Dフォンが熱くなり、赤く光るのが解ったが、そんなことどうでもいい。

「とりゃあっ!」

ソファを力一杯持ち上げた瞬間、そこには______小さな人影がいた。
いや、人影と言ってもただの(・・・)人間ではない。
まず、性別は(一応)女。
ショートカットの黒髪で。
目は据わって______俗に言うイッチャッテル感じで、真っ黒な
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