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101番目の舶ィ語
第五話。ベッド下の怪人
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、さっき先輩がお風呂に入って『ふんふんふーん♪』と鼻歌を歌っていた音もゴシゴシとボディタオルで身体を洗う音もちゃっぷと水が浴槽から溢れる音が聞こえたのもヒステリアモードで強化された俺の聴力はしっかり聞いていた。
ヒステリアモードの無駄使い?
いや。これは詩穂先輩の身を『ベッド下の男』から守るのに必要な行動だ。
だから仕方ない!
と、そんな言い訳を脳内でしていると。

「モンジくん、わたしのお風呂覗きに来なかったね?」

先輩が爆弾を落としてきた。

「ナニヲイッテルンデスカ??」

いきなりナニを言ってるんだこの人は!
俺の頭の中ではかなりスピーディに、
『お風呂覗きに来なかったね?』→『覗きに来てくれてもよかったのに』→『モンジくん、これがわたしの体だよ……』→『ふふ、いらっしゃい……?』
のように変換された。
イヤイヤイヤ。そんなはずねえから! いつもの先輩のお茶目だから!
そう思う自分と。
いや、でも詩穂先輩が望むならそれに応えるのが男の、俺の役目だ!
という想いがある。
前者は普段の俺やモンジの思考だが。
後者はヒステリアモードの今の俺だ。
こっちの俺は女性の頼みを断ることはできないからね!

「もし音央ちゃんと鳴央ちゃんがいなかったら覗いてた?」

ヒステリアモードの俺がそんな思考をしているとは知らない詩穂先輩は。
あろうことか。まるで本当に望んでいたかのような仕草をして。
俺の方にさりげなく身を寄せてきた。
当然、その豊かな胸元も寄せてきた。

え、何だこれ?
もしかして俺、誘惑されてる?

ははは、まさか。
そんなはずあるわけないだろ……ゴクリ。
しかし……先輩、やっぱり大きくて形もいいなっ!
一之江やアリアにも先輩のような物理的な包容力があれば……。
おっと、いかんいかん。
ここにいないとはいえ、一之江は俺の心読めるみたいだからそれ以上は考えるはよそう。
まだ死にたくないし。

「いなかったら、ですか?」

「うん。あ、いなかったら家にお泊まりに来てないー、とかはなしね。『もしかしたら』のお話だもの」

「うっ、わ、解ったよ……」

先輩の顔が近い。風呂上がりの上気した?は愛らしいピンク色をしていて、触ったらきっと気持ちいいんだろうな。それに、先輩の体からはやっぱり柑橘系のいい香りが漂っていて、もっと近くでその空気を吸いたくなってきた。ああ______男ってヤツは、可愛い女の子が側にいるとおかしくなっちまうものなんだよなぁ……。

「……た、多分」

「多分?」

「先輩が望んで言ったのなら覗いていたかもしれません」

「わたしが望んで?」

「はい。先輩が俺になら見られてもいい、とか思ってくれていたのなら覗いていました。

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