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101番目の舶ィ語
第二章。ベッド下の男
第三話。口は災いの元っていうけど、ヒスキンにとってはそれがデフォ!
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大学生になったら一人暮らしをしてもおかしくない。
先輩にとってはごくごく当たり前な選択に、それでも胸はドキドキした。
先輩がいなくなるかもしれない。
それは寂しい事だが、どうしようも出来ない現実で。
自分自身の境遇に重ね合わせてしまい、どんよりとした気分になってきた。
もし、大切な人がいなくなったら?
気楽に会えないほど遠くに行ってしまったら?
残された奴らは……どう思うのだろうか?

「モンジ。しっかりしなさい」

そんな俺を現実に戻したのはやはり一之江だった。
______そうだ。今はそういう感情で戸惑っている場合じゃない。
先輩が怖がっている都市伝説は、実際に「いる」可能性が高いのだ。
しかも一人暮らしという事は先輩が狙われる可能性が高いんだ。

「ん、ありがとうな」

小声で一之江に感謝を伝えると、一之江は僅かにコクリと頷いた。
……普段もこういう優しいツッコミをしてくれるといいのだが。
何でいつもザクザク刺してくるのかな?
あれか? 愛情の裏返しというやつか?
好きな人ほど刺したい、みたいな……。
いや、一之江に限ってそれはないか。
ツンデレじゃあるまいし。

「最期に言いたい事はそれだけですか?」

「すみませんでした______っ!」

何で考えてる事が筒抜けになってるんだよ??
あれか、一之江には人の心を読む力とかがデフォルトされてるのか?
一之江ならありえそうで怖いな……。

「しかし、先輩が一人暮らしとなると、心配ですね」

そんな事を考えながら俺は先輩に話しかける。

「うん、私も怖いなー、と思って。最近はベッドで寝るのが怖いから、リビングのソファにお布団を持ってって寝てるくらいだもん」

なるほど。
最初からベッドで寝なければその都市伝説は発生しないはずだからな。
対処法をさりげなくやってる辺り、さすがは先輩だな。

「でも、おかげで体が痛いし、ちょっと寝不足なの。ふぁ〜……」

……それはそうだよな。ベッドの方がフカフカだろうし、よく眠れるのは当然だ。
よーし、それじゃあ……。

「じゃあここは俺が先輩の家に泊まりますよ、なんちゃって!」

冗談っぽく言ってみたが……。

「ほんと?? モンジくん一緒に寝てくれるの??」

詩穂先輩はもの凄い勢いで食いついてきた。

………。
………あれ?

もしかして、俺……。




やっちまったか?
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