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歌集「春雪花」
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 暁を

  青く染めにし

   秋雨に

 蟋蟀鳴きて

    君 想いける



 空が明るくなってきたが、初秋のささやかな雨のせいで太陽は雲に隠れている…。
 何だか冬の朝を思わせる様な風景の中に、外から蟋蟀が鳴いている音がしている…。

 こんな物悲しくなる朝、どうしても彼を思い出し、どうすれば会えるだろうか…などと、愚にもつかぬことばかり考えてしまう…。



 今日を越え

  明日を越えしも

   影もなく

 ただ秋風の

     吹きし随に



 今日を遣り過ごし…明日を遣り過ごしたとしても、ただ無駄に時が過ぎ行くだけで、彼に会える訳もなく…。

 もはや成るようにしかならず、秋の風が吹き去る様に…この身も成るようにしかならぬのだ…。

 淋しく…虚しく…一人待つだけ…。

 たとえ…想われることがなくても…。




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