暁 〜小説投稿サイト〜
DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter1「暮海探偵事務所へようこそ」
Story4:二人の美しい女性(ひと)
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ブレーキを踏み始める。前を見ると、丁度赤信号だった。


「私は『暮海(くれみ) 杏子(きょうこ)』―――しがない『探偵』さ」

「たん、てい…ですか…?」


 俺がそう呟くと彼女―――暮海さんは笑みを浮かべる。その時丁度信号が赤から青へ、それを見た暮海さんはアクセルを踏み、車を走らせた。
























 中野ブロードウェイ。通称コープ・ブロードウェイ。
 東京の中野区にある複合ビルの名称。低階層はショッピングセンターで、それより上は集合住宅となっている建物だ。

 今や「サブカルチャーの聖地」という言い回しがよく言われるこの場所に、暮海さんは俺を連れてきた。
 そしてその一回の奥―――人があまり混み合っておらず、指で数える程しか歩かないような通りに面した場所。そこに彼女の言う“事務所”―――


 “暮海探偵事務所”があった。


「―――なるほど、経緯は把握した」


 今まであった事。EDENで白峰達と待ち合わせをし、デジモンと出会い、そしてあの黒い化け物(ナニカ)と出会った経緯を、一通り説明し終えると、彼女はそう言った。


「キミが電脳空間からログアウトして出現したという新宿のあの場所は、EDENへログインした場所と同じか、あるいはその付近なのかな?」

「…いえ、EDENへログインしたのは別の場所で、しかも新宿の近くという訳でもありません」

「ふむ…では、今こうして私と会話しているキミとは、また別のカラダが何処かに存在する訳だ」

「なッ……いや、そうか…」


 たしかに、EDENへのログインの方法は、肉体から精神をデータ化して電脳空間へ送られる。俺の身体が今普通の肉体ではない以上、その可能性がたしかにある―――いや、高いと言えよう。


「肉体から精神データが出て、別の存在として現実世界(こっち)に現れた…そういうことですか? まるで幽体離脱みたいだな」

「いや、何らかの理由で新宿に移動した肉体が、『壊れたデータの怪人』のような姿に変化した可能性も、あながち捨てきれない」

「…なんか嫌ですね、その可能性」


 しかしまぁ、可能性の話であればそれもありなのだが……


「いずれにしろ奇妙奇天烈な話ではあるが…目の前にまさしく、摩訶不思議な姿をしたキミがいる。現段階では、状況証拠による単純な推理しかできない。早速、情報収集を進めよう。
 まずは、キミがEDENへログインした場所の現状を―――」

「あ、あの…すいません、暮海さん」

「ん? 何かな?」


 情報収集はいい、たしかに現状の把握の為に情報は不可欠だ。
 しかしその前に、はっきりさせ
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