第2章 反逆の少女たち
第22話 四魔女の一角:エレノア・ラン
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ランは、ぐっと拳を握りこみ、顔を上げた。
「がんばります。……町のため、皆の為に少しでも償えるように」
そう言って、必至に笑顔を見せていた。彼らの言葉を胸に刻み、前を向いて生きていくんだと心に決めて。
「ラン……」
マリアはそんなランの肩に軽く手を置いて、肩を貸すように抱えあげた。
「でも、驚いたわ。ユーリさんは兎も角、ランスが優しい言葉言えるなんて」
「馬鹿者! オレ様は美人の女の子には優しいのだ! ユーリと比べるんじゃない! 心外だ」
「どっちが心外?」
「面倒だ。ノーコメント」
「火を見るより明らかって事ね」
「ケンカ売っとんのか貴様ら」
軽く言い合っていた3人。
シィルは、ランスの姿を何度も確認していた。ユーリと話をしていても、ランとえっちをしていても決して頭から離れる事が無かったランスの顔。
「ランス様……!」
「ん? シィルか」
ランスは今頃気づいた(と、見せている?)様にしながらシィルを見た。そのシィルの目から涙が流れている。
「ランス様ぁっ……、こ、こわかった、こわかったです」
抑えていたものがはじけ出た様に、シィルはランスの胸に飛び込んだ。ランスは、それを避けようとせずにそのまま抱きとめた。
「はは、良い所もあるな。やっぱり。……ちょっとばかり妬けるな」
「あはは……、あのコはランスにべったりだからね? でも、ユーリさんもそう思うんだ?」
「なに、言ってみただけさ。あの2人がお似合いなのは、違いないと思ってるからな」
ユーリは笑っている。
嫉妬だったり、そんな感じは全く無い。心から思っていると判るんだ。
「ああ言う関係も、良いってオレも思ったり、思わなかったり、だな」
「あれ? ユーリさんなら、想い人の1人や2人……いるって思うんだけど?」
「買いかぶりすぎ、だな。……ふん」
「あ〜……そこまで気にしてるんですか」
「うるさいな」
ユーリはそっぽ向いてしまっていた。ランは、何のことか?とマリアの方を向いた。マリアは、苦笑いしつつわけをこっそりと、ランに告げる。確かにランもユーリの顔を見たがあの時の精神状態が最悪だったから、気にしていなかったのだ。
でも改めて聞いて、更に顔を思い返してみると……
「……えっっ!」
「………ふんっ!!」
「あ、ああっ、ち、違うんです。私は何も……」
「いーよいーよ。も、マジで慣れてきたもんだ」
口で何度言おうが、慣れてるように見えない。深くフードを被りなおす仕草なんか、もう恒例だと思える程にだ。
それを見たマリアは、再び笑ってしまい、ランも笑顔を見せた。
「思ってないんだったら笑うなよ……」
ユーリはそう苦言を呈していた。でも、良かったと
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