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ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第22話 四魔女の一角:エレノア・ラン
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場所に通路が生まれ、更に先へと進む事が出来た。どうやら、この迷宮全体にランの幻覚魔法の効果が及んでいるようだ。

 生命の鏡のおかげで、迷わず進む事が出きる。

 見えなかった道の先には、これまでとは雰囲気の違う広い部屋があった。生物の様にうねっているエリアから、人工的に作られた広い部屋。その場所の中央で立っていたのは髪の赤い少女。

「うふふ……よく此処まで来られたわね。ご褒美に私が直々に可愛がってあげるわ」

 たどり着いた先に立っていた少女は、四魔女の一角 《エレノア・ラン》だった。

 今回は幻覚ではなく本人だ。

 エレノア・ランは、ゆっくりと視線を2人へと向けた。妖しい光を放つ瞳が彼らを捉える。

「っ! 駄目だシィルさん! 彼女の眼を見てはいけない!!」

 嫌な気配を察したバードはシィルにそう指示をした。シィルも彼女には魔性の目がある事を思い出し急いで目を瞑って幻覚魔法を回避しようとしたのだが、それは最もやってはいけない悪手である。

「があぁぁぁっ!!!」

 次に聞こえてきたのは、バードの悲鳴だった。
 これまでのものとは桁が違うかのような悲鳴だった。シィルは慌てて目を開けた。

「ば、バードさん!! う、腕が……!!」

 バードの左腕が肩先から斬り飛ばされていたのだ。既に無くなった腕は宙を舞い地面にぼとりと落ちる。そして、傷口から鮮血が……。ランは、自身の剣に着いた血を舐めとると、妖艶な表情のまま バードの姿を見ると嘲笑うかのように笑みを浮かべる。

「ふふふ、馬鹿みたいね。目の前に敵がいるのに、目を瞑るなんてね……まぁ 見ていたとしても結末は同じ。私には誰も勝てないのだから」

 傷口を抑え、必至に出血を止めようとしているバードを、ランは蹴り、地面に這い蹲らせた。

「ふふふ、必要なのは少女だけなの。貴方は必要ないのよね」
「ぐぅっ……! お、お前だけは、お前だけはこの俺の手で必ず倒す!」
「あははは! 滑稽ね。手って言ったけど右手一本で? 剣も無いしどうやったら、今の状態で私を倒せるのか教えてもらいたいものよ」

 ランは、剣を掲げた。
 今にも振り下ろしかねない状況で、シィルは叫んだ。

「や、止めてぇぇぇ!! 炎の……っっ!!」

 手に魔力を集め、炎の矢を飛ばそうとしたのだが、その行動はランに読まれていたようだ。シィルは、まともにランの瞳を見てしまい、魔法も中断させられてしまった。

「ふふ、シィルさん……でしたね?」
「え、あっ……」

 シィルは全身から力が抜け、思うように言葉を喋る事も出来ない。ランは、バードには興味が失せたと言わんばかりだ。シィルの方を、その瞳だけを見つめていた。

「うふふ、もうあなたは私の下僕よ。さぁ、私
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