第2章 反逆の少女たち
第21話 四魔女の一角:ミル・ヨークス
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心からの叫び、家族を思う言葉をも遮ってしまう。ミリは、この時ほど指輪に怒りを覚えた事は無かった。そして、自分の無力を嘆いてしまっていた。家族を……たった一人の家族を守る事が出来ないのかと。そんなミリの肩に手を置く。
「大丈夫だ。……妹は、救える。……必ず」
「っ!!」
表情から読み取ったのだろうか、ユーリはミリが思っていた事に答えてくれていたのだ。ユーリは、剣を再び鞘へと収め、今度は柄から手を放していた。つまりは、完全に無防備の状態だ。
「っ!! ユーリさん!!」
「ば、ばかやろう! 流石にそれは無茶だろうが!!」
「おいコラ! 貴様、貴様が死ねば、オレ様が更に疲れてしまうだろうが! 誰が許可した!」
流石にこの行為にはランスも反応してしまう程のものだった。だが、ユーリは、首を左右に軽く振る。
「ランス、マリアと戦っていた時の事だ。覚えてるか?」
「む?」
ユーリは振り向かずにそう答えた。ランスもその時の事を思い出そうとしていた。だが、ユーリの行動の方が早い。
「合図したらミルに向かって走れ。あいつらはオレに任せろ」
「むぅ!! そんだけ自信満々に言うならば、成功させるんだろうな!?」
「勿論だ」
10体以上の幻獣が一気に向かってくる悪夢の様な光景の中でユーリの声は笑っていた。
「ば、ばかにしてぇ……はぁ、はぁ……幻獣さんが負けるはず無いんだから……」
流石のミルも一度に大量に生み出した影響も祟っているのか、軽く肩で息をしていた。指輪の効力を考えれば、まだ十分に余力が残っているだろう、と思えるが今は考え無いようにする。
「ランス! 今だ!」
「だりゃあああ!!」
ランスは、ユーリの合図と共に、何の迷いも無く飛び掛った。
ミル、幻獣とユーリ、そしてその後ろにランスが突撃してくる。
つまり、ランスがミルの所へと行く気ならば、ユーリを飛び越え、更に幻獣をも超えなければならないのだ。
「そんなのできっこない!! 死ねぇぇぇぇ!!」
「……ふん!!」
ユーリは、手を交差させ、左右に素早く開いた。その動作は、先ほどミルがしてみせたそれと全く変わらない。同じ動作をして、そして……。
「……なっ!!」
ミルは目を見開いた。
目の前に自分が呼んだ筈の幻獣無数の壁の様にいた筈なのだ。だけど……、ユーリの生み出した亀裂が、幻獣を消し去ってしまったのだ。
この時、ミルは動揺せずに幻獣を召喚していれば、まだ戦えたかもしれない。戸惑い、恐れ。それを生んでしまったが為、思考が停止してしまったのだ。それが勝敗を別つ隙間となった。
「ラァァァンスアタァァァック!!!」
ランスは剣を高々と掲げ上げると、ミルの手前の地
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