第2章 反逆の少女たち
第21話 四魔女の一角:ミル・ヨークス
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ようだ。それを見たミリは苦笑いをしながらミルの手をぎゅっと握り、ユーリ達に向かって口を開く。
「さて、悪いけど、俺は此処で抜けさせてもらうぜ。ミルを町へと連れて帰らないといけないからな」
「あれ? 合流はしてくれないの? それなら一緒に町まで行くけど?」
「マリア」
ユーリは、マリアの肩を叩く。
そして、マリアが向き直ったのを確認すると、首を左右に振った。
「今は、姉妹で一緒にいる方が良いだろ?」
「……ああ、オレも付いていきたいのは山々なんだ。だが、ユーリの言うように付いていてやりたいんだミルの傍に。それに指輪の悪影響があるかもしれないんだからな」
「っ……、そ、そうよね? ごめんなさい。少し無神経だったわ」
「いや、気にしてないさ。それに仕方ない。つい最近まで一緒に修行をしてた仲だったしな」
ミリはそう言って笑顔を見せながら手を振った。
「指輪の悪影響は心配だな。魔力を持っていかれる以上の事が無い、とは決していえない。……オレ達は大丈夫だ、家族の、妹の傍にいてやれ。何かあったら、本気で後悔するぞ」
「……ああ、そうだな。悪いが後は頼むよ」
ユーリの言葉を聞いて重みを感じるミリ。
間違いなくユーリも何かあったのだと思うには十分過ぎるほどのものだった。だから、経験しているからこそ、言葉が重く感じるのだと思えるのだ。ミリは決して妄りに聞かず、今だ泣き止まないミルの方を見た。
「ほら、ミル。いい加減泣き止め。その痛みは、大人になる以外にも良い女になる為の痛みでもあるんだ。だから、耐えろ」
「ぅ、ぅ……くすん」
「それにしても、厄介な迷宮にしやがったな、お前の部屋を見つけるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ?」
「……ぅぅ、ぇ? わ、私の部屋なら……階段下りて直ぐ入れる場所だよ。マリアに合言葉教えてあげてたし、直ぐに来られるから、それで来たんだと思ったんだけど」
「…………」
「…………」
ミリとユーリの無言のプレッシャーがマリアに突き刺さった。
その圧力はマリアも十二分に感じているようで、冷や汗をだらだらと流している。迷宮に着てからの記憶、指輪をつけていたころの記憶を必至に揺り起こした。
「え、で、でも、そんなの言ってたかなぁ……? ミルの勘違いじゃない……?」
「え?言ったよぉ?ほら、壁を3回ノックするんだ、すると壁の方から『クリオネちゃん』って声を掛けてくれるからそれで……」
「『ファイト!!』って言うのよね! ……って、あ!」
記憶が鮮明に戻ってきているのが判った。正直、研究に没頭するあまり、完全にてきとうに聞き流していたのも思い出していた。だが、聞き流してはいたが……思い切り聞いている。
「ま、アイツが聞いてたら、お仕置きだ!! とか言いそう
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