第2章 反逆の少女たち
第21話 四魔女の一角:ミル・ヨークス
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しまっているが、その指と指の間に光る物が見えたのだ。
「これは……」
「あっ! ルビーね?」
ユーリは、手を伸ばしてその光る物を取る。マリアもその石に気がついたようだ。
「がははは! 流石、オレ様の強運だな! すべてが上手く行くと言うものだ! よし! ユーリ、それを寄越すのだ!」
「はいはい。ほら」
ランスは笑いながら手を差し出した。
ユーリも軽く苦笑いをしつつ、ランスに向かってルビーを投げた。あのタイミングで、ランスが何かを言わなかったら、ひょっとしたら気づけなかったのかもしれない……そうも思える。
「強ち、まぐれ当たりじゃない感じがするな」
「……それは間違ってないぞ?ランスは、生まれもった素質に絶対に運も持ち合わせてるって思うんだ。……アイツと一緒にいれば良くわかるってもんだ。その天運のスキルを」
ミリの呟きにユーリは頷いた。
以前のリーザスでの事件を思い出しているのだろう。ランスが行く所行く所、何故か上手く情報があつめり、結果として良い方向へと向かっていく。それは、良い運であれ、悪い運であれ……常人以上に何かを惹きつける能力に長けている、と確信できるのだ。
流石に、リーザス城下町の武器屋《あきらめ》の店主であるミリーには負けると思うが。
「ま、節操無しなのが玉に瑕だが」
「玉に瑕ってレベルじゃないわよ! もうっ 性欲の悪魔は、きっとランスの事! って言うか、あのミイラさんの王様の生まれ変わりなんじゃない!」
話を聞いていたマリアがそうツッコミを入れていた。
確かに、節操無し……のレベルでもない。≪鬼畜戦士≫の名が相応しいだろう。
……確か、そう言うあだ名がついていたと記憶もしている。
そして、一行は、再びあの開かずの扉の前へとやってきた。ランスは、先ほど手に入れたルビーをその扉の穴の中に入れる。すると、大きな音と共に、扉が左右に開いていったのだ。
そして……。
「誰? 何か御用なの?」
1人の女の子が現れたのだ。
紫色の長い髪。そして、ミリに良く似た容姿。その姿を見たミリは、前に出つつ、大声で叫んだ。
「ミル!!」
叫びながらミリは部屋の中へと入っていく。
そう、部屋の中にいた少女こそが、四魔女の一角≪ミル・ヨークス≫だった。
「おねーちゃん!? もう、何で来たのよ。もう私の事はほっといて! って言ったでしょ!!」
「漸く見つけたぞ、ミル! カスタムの皆にこんなに迷惑をかけやがって、さぁ! 指輪を外して姉ちゃんとくるんだ!」
「ふーんだ!」
ぷいっ、と頬を膨らませてそっぽ向くミル。
その仕草は子供のそれだが、容姿を見たランスは、鼻の下を伸ばしつつ、涎をじゅるりと流していた。
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