暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第20話 悪魔の悲鳴
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マリア。だが、この時の悪魔の女性は心の中でほっとしていたのだった。

「(ほっ……どうにか噛まずに言えた! 初仕事のわりには合格点だよ。きっと! さぁ がんばらないと……)」

 そう、この悪魔はこれが初契約、初仕事である為、事前に発声練習を繰り返していた為、言葉もスムーズに言えていたのだ。その事を聞けば親近感も沸いただろう。

「さぁ、どうですか?死後の世界なんて、今の貴方には関係有りませんし、それに死だって、何10年も先の話ですよ? ここは私と契約を結びません?」
「ふむ……、叶えられる範囲ならどんな願いでもいいんだな? さっき言っていたヤツ以外なら」
「ええ、勿論ですよ!」

 ランスはどうやら、受ける気満々のようだ。

「ちょっと! ランス、危ないよ!」
「確かにオレも危ないと思うぜ。悪魔だし、信用しすぎるなよ」
「……オレは全部ランスに任せる」

 3人の中でユーリだけが、何も言わずランスに任せた。
 その事に少なからず、思う所が2人にはあったが、それだけ信頼もしているのだろうと何処か納得も出来ている様子だった。……とりあえず、ランスが契約をするとなれば、第一にする事は想像が……と言うより確信が持てる。

「がはは、よし! 悪魔の娘 その契約に乗ったぞ!」
「はい。ありがとうございます。(きゃあああ!! やったぁぁ、ばんざーーい! これ、幸先良い!! これなら、5級……4級だって楽勝だよっっ!!)」

 平静を装いつつも、なんでだろうか?
 何処か、本当に親近感を持つ事が出来そうな娘だと思えてきていた。

「うむ。なら早速言うぞ?」
「はい! 私に叶えられる範囲であれば、何でも致します!」
「はは……」
「はい、確定」
「……はぁ」

 悪魔の言葉を聞いてミリとユーリは苦笑いをしつつも、哀れんでいる視線を向けていた。
 だが、本人がすると言う以上は……仕方ないことだろう。悪魔と言う仕事をすると言うことはそれだけの覚悟があると言う事だ。

 マリアも、この時ばかりは悪魔の娘に同情をする様子だった。

「うむ……なら最初の願いは……」
「……ゴクリっ」

 ランスが突然真剣な目つきになったのを見て悪魔も息を飲んでいた。

「あ、あれ……? ランス……ひょっとして何か……別の?」
「マリア、慌てるな慌てるな」
「ああ。いくら俺でもわかる」

 マリアは、ランスの目を見て自分の考えが違った?と思っていたが、ユーリとミリだけは騙されない。と言うか、何度もあったから、もうこれが通常だと思えていたのだ。

「ヤらせろ!」
「…………へ?」

 想定してなかったのだろう。
 悪魔の娘はさっきまでのセールストークではなく、素であろう声と、ぽかんとした顔で呆けていた。
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