第2章 反逆の少女たち
第19話 マリアの受難
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程だったらしいのだ。
『あのひと すごいなぁ……あるいみだけど。いっしゅうまわってるって言うのかな?ってかんじだ。だから、いきていられるのかなぁ……。てんちゃいのわたしでも、わかんない』
遭遇したときの彼女の感想がこれである。
とまあ、こんな感じの物凄い不幸な冒険者バード。だが、同情できない部分も当然ある。
と、場面はバード達へと戻る。
〜迷宮≪地獄の口≫妖体迷宮・牢屋〜
シィルは、何とかこの場所から脱出しようと魔法を駆使し 破壊しようとするが、ビクともしない。魔力も少なくなってしまい、壁にもたれかかる
「もう……だめです。この牢屋からは抜け出せないです……」
「シィルちゃん、まだ諦めるのは早い。がんばれば絶対に抜け出せるよ」
「でも……、色々と試したけれど、どれも駄目だったですし……」
そう、破壊しようとする以外にも色々と試しているのだ。壁を叩いてみたり、蹴ってみたり、隠し扉を探したりと、だが、どこもこれも上手くいかないのだ。
そう……出口など何処にも無いかのように。
「……ランス様がいてくれたら」
シィルは、この時呟いていた。
勿論頭の中では、ランスだけではなくユーリの事も思っていたのだが、彼女の中にある一番はランスだからだ。だから、無意識に彼の名前が出ていた。
その男の名前にバードは納得がいかない様なのだ。
「むっ、どうしてそうシィルちゃんは、ランス、ランス、ランスばかり言うんだ。そんな君を奴隷扱いするような男の何処がいいんだ」
「えっ……バードさ……」
バードは、シィルの背後に回りこみ、後ろから彼女を抱きしめた。
「そんな男の事なんか忘れて僕の方を見てくれないか……? 君が好きなんだ……」
まさかの、告白だった。
……吊橋効果と言うものもあるが、状況を考えてもらいたいと思うがバードは続ける。
「この洞窟を無事に抜け出せたら、結婚してほしい。絶対に君を幸せにする」
「で、でも……」
「そう、ランスの事なら、僕に任せてくれ、話をつけてやる」
「だ、だめ……」
バードは抱きしめる力をあげるが、明らかにシィルは拒否をしている。振りほどこうとはしていないが、身体を伝ってそれは明確に、はっきりと伝わる。
「シィルちゃん……僕の事がきらいなのかい?」
「違います、バードさんは良い人ですけど……、でも、でも、違います……」
その時だった。
緊張した空気を引き指すように壁が壊れる音が響いていたのだ。どうやら、牢屋の壁が外部からの力により崩れたようだ。
崩れた壁の向こうから現れたのは白く長い髪を赤いリボンで纏めた少女がいた。
「バード! 助けに来た……わよ。あれ……その
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