暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第18話 鏡の御指示
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た血の量から朦朧としていた為最初はマリアだと気づかなかったが、ここまで傍に近づいたら嫌でも判るのだ。

「ミルが、妹……成程、ヨークスと言う性、ミルの姉と言う事か」
「そ、そうだ! お前らも仲間なんだな!? 妹を……妹を返せ! っ!! げほっ……げほっ……!」

 ミリは叫びをあげるが、直ぐに堰込んでしまった。
 それは当然だろう。幾ら世色癌が優秀な体力回復のアイテムとは言えそこまでの即効性はないのだから。

「無理をするな。多少、回復したとは言え、重傷者には違いないんだ」
「そうだ。傷が開いたらどうするのだ! 言っただろ、オレ様とヤル前に死ぬなどゆるさんぞ」
「う、うるさい……! オレは、姉として、あんだけの事をしでかした妹の始末をオレ自身がつけなきゃならないんだ! オレが……あの馬鹿の始末をつけなくちゃいけないんだよ!」

 ミリはまだ興奮をした状態だった。体力がまだ減っている今を考えたら良い状況とはいえない。

「……落ち着け、今説明する。マリアは、敵じゃないんだ」
「そうなの。ミリ、落ち着いて聞いて。事の真相……今から全部話すから。私は……敵じゃないの。」
「げほっ……、な、なに……?」

 マリアは今回の事件の全貌をミリに説明した。
 真の元凶であるのは、ラギシスだと言う事、そしてこんな事態を引き起こしてしまった原因は、指輪の影響で、悪の心に染まってしまった為だと言う事、ミルはまだ悪に染まったままだと言う事、その全てを。ミリ自身は、ガイゼルの時と同様に初めこそは鵜呑みに出来ず疑いの眼差しで見ていたが、ユーリやランスもその話が真実だと口を揃えた。

 町へ帰れば証明できると帰り木も渡された。

 この迷宮から抜け出せるアイテムを渡した以上は、話が真実なのだと思えるようになり……、その目に希望が生まれ、そして安堵する表情へと変わって言った。

「そう、か……妹は、ミルは指輪の魔力に操られているだけ……なんだな?」
「ええ……。そうなの。私達のした事は決して簡単に許される様な事じゃないのは判ってる。ラギシスに反逆する前に、真実を話していればって、後悔してる。でも……ミルは、今も真の意味でラギシスに囚われているも同然の状態なの。だから……殺すなんて悲しい事、もう言わないで」

 マリアの目から一筋の涙が流れ落ちた。そして、その表情。嘘を言っているようには到底見えないのだ。ミリは大きくため息を付く。妹が自分の意思でこの大惨事を引き起こしたわけではないと言う事が判って安心したんだろう。
 自分が死ぬ以上に……妹を殺すという事が怖かったのだから。

「事情はわかったよ。だが、する事が変っただけだ。このまま手を引くわけにはいかないな。馬鹿な妹の始末をつけると言う事から、操られている妹を救出するって言うの
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