第2章 反逆の少女たち
第17話 神隠し
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〜カスタムの町 ラギシス邸跡〜
ラギシス邸が見えたその瞬間、マリアは急ぎ足で扉に向かっていた。
まだ、1人にするわけにはいかないから、ランスとユーリも後に続く。扉を乱暴に開けると同時に。
「おいコラ!! ラギシス、よくもオレ様を騙したな!」
「黙ってないで、出てきなさい!!」
ランスとマリアが力いっぱい叫んだ。
マリアはまだ、薄っすらとだが、涙の後が残っていたが、声はしっかりと出ており、元気も取り戻している。その上、この場所に来た事でラギシスへの殺意も同時に思い出したんだろう。
さっきまでエレナに嗚咽を上げていた姿が嘘のようである。
「さっさと出てこないか! この卑怯者め! スケベじじいめ!!」
「もう一度、地獄に送ってあげるからさっさと出てきなさい!!」
何度も何度も叫ぶが、一向に出てくる気配は無い。ランスは乱暴に屋内を歩き回り、視渡すが、姿はおろか、気配すら感じない。
「……出てこないな」
「どういうこと? たしか、ここにラギシスはいたって」
「うむ。オレ様は嘘は言ってないぞ。確かにここにいた。青白い姿でな」
あの床に描かれた魔法陣の場所も調べるが、全く変化はない。この屋敷全体にもそういった気配がないのだ。
「……考えられるのは、逃げたと言う事。それが妥当か。だが、なぜ此処にマリアが来る事が判ったのかが解せない」
「ふむふむ、じゃああれだ。とっとと成仏したんじゃないか?オレ様たちに退治されると思ったか、もしくはもう既に死に掛けて? たから」
「幽霊が死に掛ける……ってなんだか変な気もするが。いないのは間違いないな」
「そんな……、そんなのってないわ。自分だけ、逃げるなんて。まだ私達は苦しんでいるって言うのに……」
もう一度ラギシスを殺すつもりだったマリアは、力なく崩れ落ちた。そして悔しそうに呟く。その憔悴しきった様子は見ていられなかった、何かかける言葉は?と模索していた時、マリアは勢い良く立ち上がる。
「っ!! もう、いつまでもくよくよしてても仕方ないわよね! 気を取り直して3人を助けに行きましょう!」
「おお。前向きだな? 良かった」
「だって、ラギシスは憎いけど、もういない以上は仕方ないじゃない。それに、それ以上に3人が心配なんだもん。ランスだって、シィルちゃんのことが気になるでしょう?」
「馬鹿抜かせ。あいつはただの奴隷だぞ。ドンくさい奴隷だ。心配などするか」
ランスはそれ以上は言わずに大股で歩き出していった。
素直じゃないな、と苦笑いをしつつユーリも気合を入れる。シィルも長く共に戦ってきた大事な仲間なんだから。
「っと、そうだ。とりあえず、マリアの事を町長に伝えておいた方が良いだろう」
「そうか?」
「こう、歩きずらそう
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