第2章 反逆の少女たち
第17話 神隠し
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「それでだ。マリアも聞いてないと言ってるが? 何かあったのか?」
「おおっ! それだったな。攫われている所でも目撃したのか?」
チサの事は心配だ、だがこの事は手がかりになるのかもしれない。
ユーリは真剣な表情で尋ねると、ガイゼルはゆっくりと口を開いた。
「そ、それが……一晩たっても帰ってこないから……しんぱいでしんぱいで」
「……えっっ? それだけ!?」
マリアがそう訊いているけど、恐らくは全員が思っていた言葉だろう。それをマリアが代弁してくれた。まぁ、そう言われても不思議じゃないとガイゼルは恥かしそうに自分の頬を掻いていた。
「過保護すぎるおやじだな。それだけかよ。そこらのろくでなしの色ボケ不良と駆け落ちでもしたんじゃないか?」
「だから、煽るなって。ショック死するかもしれんぞ」
「あわ、あわわわ!!! なな、なんて事を言うんじゃ!! チサは、そんな事はぜったい、ぜーーーったいせん! あの優しいチサが 儂を残してなんて……」
「とりあえず、駆け落ちとかは置いといて、彼女には彼氏はいないのか? 彼女だって気を張り詰めていた筈だろう? 落ち着ける誰かの所にとか」
「ななななぃ!!! ユーリまで何を言うか!! チサに彼氏などそもそもおらんわ!! そんなもんいたら、とっくの昔に殺してるに決まってるだろうが!! 寧ろ、魔女の餌にしてくれるわ!」
「その通りだ。そこは全面的におやじと同意だ!! チサちゃんの処女はオレ様のものだぁ!!」
「………。はぁ」
親バカも此処まで来れば凄いというものだ。ランスと気が合うのだろうか?
とりあえず、精神状態が普通じゃないと、勝手に決め付けて先ほど口にした町長あるまじき発言については軽くスルーした。……町長じゃなくっても問題ありな発言だと思うが。
「……魔女の餌だって? お前らは、人 食べたりするのか?」
「わ、私達、そんなことしませんっ!!」
マリアも慌ててそう言っていた。
確かに攻めてきた冒険者たちを撃退しているが、餌扱いしてるか?と言われれば首を横に振りたいようだ。
そして、ガイゼルの姿を見ながらマリアは悲しそうに呟く
「はぁ……、とても厳格で信頼できる町長さんだったんだけど……」
自分達が起こした事が引き金になっているとは言え、過去の立派なガイゼルの姿はもう、影を薄めていた。すると、その時だ。部屋の扉が開いて誰かが顔をのぞかせた。その気配に全員が振り返ると、そこに立っていたのは紫の服に実を纏った美人の女性。薄く青みがかかった白い髪をリボンでとめている。歳は自分達より上か。落ち着いた雰囲気の女性である。
「お邪魔します。すみません。何度かノックしたのですが、返事が無いので勝手に上がってきてしまいました」
「おお! オレ様
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