暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第17話 神隠し
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……、彼女はもう敵じゃない」

 と、口で言っても聞かないガイゼル。ずっと腕に抱きつかれているランスからすれば、鬱陶しいこと極まれりだろう。……と、思っていたら、もう実力行使に出たようだ。

「ええぃ! いい加減はなれんか!!」
「げふぅぅぅ!!」

 ランスは、つかまれてない方の手で、見事に鳩尾を穿った。
 渾身の一撃、クリティカル・ヒットと言えなくもないような一撃で、ガイゼルの身体がくの字折れる。……相手は一応病人なんだが、容赦の無い攻撃をするあたりはランスらしいとしかいえないだろう。……が、その甲斐?もあってガイゼルも落ち着きを取り戻したようだ。
 錯乱してる時は一番この対処が良いものだ。そして、落ち着いた所で、ガイゼルにマリアから聞いた今回の事件の概要を裏の事実をガイゼルに話した。

「そうだったのか……、あのラギシスが。俄かには信じがたいが」
「だが、限りなく黒だ。状況証拠というのもあるが、色々と辻褄が合う。現状では一番信用する話だと思っている。後は残りの魔女達を助ければ裏が取れるだろう」
「おい。聞いた話と随分違うようじゃないか。あの男は一体どういう男なのだ? 実は影で悪い事をしてました。とか、キレやすく乱暴な男でした。とかないのか? いかにも悪人のような」
「いやいや、そんな事は……、人当たりだって良かったし、何より住人とも……いや、待てよ」

 ガイゼルはラギシスの町での生活を思い返していた。
 確かに、特に目立ったところは無いが1つだけ、たった一度だけ、不穏な表情をしていたのを見た事があったのだ。もう、随分昔の話だが、とある夫婦に何かを注意された直後だ。まるで目で射殺するような勢いで睨んでいたのを偶然にも目撃したのだ。普段の振る舞いから全く違う事から印象に強く残っていたが、それ以降は特別なにも無く、人間誰にでも激昂するときはあると、納得して胸の内に仕舞い込んだのだ。

「人間なんだ。裏表だってあろうだろう。だからこそ、有り得ない事ではないということか。……つまり、四魔女は、……いや、彼女達は町の敵ではないのだな?」
「いいえ、それは違います。あの忌わしい指輪をつけている以上はまだ……」
「がはは、と言う訳でスパーっと解決してくるから、待っているんだな。オレ様他3名。……あの馬鹿がいないが、兎も角、三人の娘にはきっちりとお仕置きをしたうえでのろいから解放してくる。勿論チサちゃんも連れて帰ってやろう!」
「おおっ!! 頼もしい! 宜しく頼みます!!!」

 ランスは大口をあけながら宣言する姿を見て、ガイゼルは胸をなでおろしていた。そもそも、これまでの冒険者で4人の魔女を1人でも倒した者など誰もいない。誰も成し得なかった事なのだ。これ以上無いくらい、ユーリとランスを信用するようになっていたのだ。

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