第2章 反逆の少女たち
第16話 指輪の真実
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回避するのは仕掛けた人じゃないと無理ってくらい一瞬なの。」
「な、なんてことだ……。シィル……」
ランスは、力が抜けたかのように勢い良く立ち上がったのに、座り込んだ。
普段のランスからすれば、見て取れないほどの落ち込みぶりのようだ。その変貌振りにマリアも驚きを隠せず、自分を無理矢理襲い、処女も奪われた(結果的には良い方向へ行ったが。)為、正直良い印象は抱いてなかった。
だが、仲間が飛ばされた事を聞いて落ち込む姿を見たら、悪い人ではないのかもしれない。と言う新たな印象を得ていたのだ。
マリアはそっと、その肩に手を置いて慰めの言葉をかける。
「げ、元気出してよ。大丈夫だって、きっと見つかる筈よ」
「……あいつに、あいつに」
「ランス……」
慰めの言葉も聞こえないのか、と思ってマリアも座り込み視線を合わせ顔を見ると……。
「あいつに有り金を全て持たせたと言うのに――!! シィルの馬鹿野郎ーー!! オレ様の許可もなくいなくなりやがってー!!」
「……え? ええ!?」
耳を疑う言葉だった。と言うより、いったい何を言っているのか判らなかったようだ。
「ええぃ シィルめ! アイツが帰り木も持っているのだぞ!? こうなったら。お仕置きしてやる、SMだ! 縛って吊るしてあーして こーして、 ひぃひぃ言わせてやるからなー!!」
「って、あのコの事心配してたんじゃないの!!」
「当然だ! オレ様が奴隷の心配などする筈が無いだろ。心配しているのはアイツの持ってるものだけだ!」
「……最低」
当然の如く平然と言ってのけるランスにマリアは呆れ果てていた。折角好印象を持ったと言うのに、水の泡だろう。
「ねぇ……アイツっていつもこんな感じなの? ……あれ?」
マリアは、ユーリにそう聞くが、中々返事が返ってこない。地面を、テレポートウェーブの跡を凝視たままだ。
ユーリは、頭を振って 脳裏に映し出されるその映像を、今は考えまいとしたのだが……、どうしても 出来なかった。
『来――……駄目ッ!』
『すま……い。逃げ……!』
『ッッ!! アス……さんっ!惣……さんっ!!』
一瞬だった。だけど、強烈なまでに、頭の中に印象づける幼き日の記憶。
テレポートウェーブの事は知っているし、見たことも有り、のまれたことだってもちろんある。だが、なぜ、ここまで揺さぶられるのかが判らなかった。
「しっかりして! どうしたのっ!」
マリアが強くユーリの身体を揺さぶった。
何度も呼んだのに、まるで時が止まっているがの如く動かなかったからだ。以前までの彼女ならこうはいかないだろうが、今の彼女は違うのだ。
マリアの声と、身体を揺らせてくれたおかげでユーリが気がつ
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