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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第十六話
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の子のお話。
 百鬼夜行の二夜目を、語るとしましょうか。

◆2010‐??‐??T??:??:??  “Street”

 走る。走る。走る。ただひたすらに、目の前の道を突き進む。
 最初は目的をもって行っていたこの行為も、今となっては目的があるのか怪しいものだ。
 いや、目的はある。けど、最初に持っていた目的はなくなっている。

 そもそも、最初っていつと認識すればいいんだろうか?
 ウチがこういう存在になったと知った時?ううん、違う。この時には、もうあった。
 ウチがこういう存在になった時?ううん、違う。この時には、もうあった。
 ウチがこういう存在になると決定づけるような行動をした時?ううん、違う。この時には、もうあった。

 だったら、可能性があるのは……あの時、なんだろう。

 ウチが『こう』なった、一番の理由。
 ウチが『こう』なった、一番の原因。
 ウチが『こう』なった、一番の因果。

 それらが絡み合った、あの瞬間。こんな世界があるだなんて知らなかったけど、しかし心のどこかでこんな世界を望んでいた時。こんな力を求めていた、あんな結末を望んでいた時期。

 けど、今となってはそんなものはない。それが済んでしまってからはしばらくは目的が続いたけど、それだってもう正しくないとわかってしまった。ううん、初めから分かっていたはずのことに、ようやく目を向けた。

 でも、そうと分かっていてももう戻れない。こうして走ることをやめることはできないし、突き進むことをやめられないし、引きずることをやめられない。だって、そうしたら自分が消えてしまうから。
 ここまでしておいて何を言っているといわれるかもしれないけど、消えたくはない。自分が悪いことをした、これからもしていかなくちゃいけない、だから自分が死ぬ、とできる程にウチは出来た人間ではない。

 こんなになってしまっては、もうその目的も果たせないかもしれない。ううん、果たせないだろうけど。でも、それでも……諦めきることは、難しい。だから、やることは変わらない。
 走って。走って。走って。走って。走って……最後に、それを捨てる。
 放り捨てるのではなく、ただその場にボトッと捨てて。そしてそのまま、その場を立ち去る。あーあ……

 また、やっちゃったなぁ。

◆2010‐06‐01T08:30:00  “Yatugiri High School 2-A Class”

「物騒なもんだよなぁ……」
「物騒ですよねぇ……」

 朝、ホームルームの前の時間。
 俺はいつも通り、学校中で人気の高い園田ティアとのトークタイムを楽しんでいた。

「『謎の死体再び』だからな……もう何件目になるんだ?」
「正確な数は覚えてないですけど、二十くらい
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