放浪剣士
魔女の血を継ぐものU
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ういうことなのだろう。
支度を終え、机に並べられた食事はお世辞にも豪勢とは言い難かった。
スープに一つのパン。そしてこの村でとれたものであろう野菜のサラダがふるまわれた。
多少の談笑とアリス達の身の上話。
普通の食事と何らかわりのないものだった。
どうやら、母親は魔女であるもののアリスの父親は普通の人間であったらしい。
珍しい話ではない。
こうしていてもわかる通り、彼女達は普段は普通の人間とは何ら違いはないのだから。
食事をすませ、アリスの相手をしているとやがてうとうとと幼い彼女は静かに眠りに落ちた。
眠ったアリスを寝床に運び薄い布をかけたところで、母親が私へと言葉をかけてきた。
「アリスの相手までしていただきありがとうございます」
申し訳なさそうに母親は言葉を続ける。
「宿代の代わりといってはなんなのですが、暖炉の薪がなくなってしまったので裏から取ってきていただけないでしょうか」
先程の私の行動を気にしての事だろうか?
相手は魔女といえど、人として罪悪感のあった私はそれを快く承諾した。
外は夜の冷たい空気に包まれ、村の明かりもポツポツと消え始めていた。
「そこの者、何をしている」
はっと振り向くと、そこには二人の兵士が立っていた。
鎧を身に纏い、その手には一振りの剣と槍。
面倒なことだ。
人間の私ですら迂闊に外に出ればこの有り様なのだから。
私は経緯を丁寧に分かりやすく、もちろん家の者が魔女ということは伏せ話した。
「それは失礼した。この村の者は世話好きでな。その身なり、都から来た者だろうが気味悪がらずにしてやってほしい」
どうやら、アリス達はうまくたち振る舞っているらしい。
特に疑われることもなかった。
「しかし、気を付けた方がいい。この周辺には危険な者が潜んでいてな…夜な夜な徘徊し我々のなかでも数人の死者が出ているのだ」
危険な者―――。
それは、もしやアリス達なのかと詳しく話を聞くことにした。
魔女は魔女。
すぐに信用などは出来なかった。
「正体はまだ掴めてはいないのだが、魔女か獣か…とにかく被害者は人とは思えぬ力で身体を引き裂かれていた」
思い出すだけでも、と連れの兵士は顔を青くし口を押さえる。
「とにかく朝までは大人しく家のなかに居ることだ」
そう言い残し去っていく兵士たち。
私は彼らの言葉を胸中で反芻させ家へと戻った。
「裏に薪を取りに行くだけで随分と時間がかかるのね」
入るや否や、飛び込んできたのは彼女の嫌みだった。
多少不快感を感じた私は、彼女へ兵士から聞いた事を説明した。
「で、それがなに?一日しか居ない私達には何の関係もない話よ」
冷たい反応
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