■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆初めての絶望、そして希望
第十一話 月夜の黒猫団
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な虫のモンスターがたくさん出現するエリアである。ここの敵は斬撃も刺突も打撃も有効なため非常に戦いやすいことで有名なのだが、今マルバの目前で戦っている人達はその限りではないようだ。
盾持ちのメイサーが一人、HPゲージがもうすぐイエローになるといった程度に消耗している。しかし、他のメンバーは長槍使いが二人と棍使い、短剣使いのみで、前衛ができるのが一人だけなので前衛が回復する暇がないらしい。ずるずると後退する形になってしまっている。このスキル構成はちょっと無理がありそうだ、とマルバは思った。ユキに隠れるようにと指示を出すと彼らに近づく。
「前衛、支えようか?」
マルバはリーダーらしき棍使いに声をかけた。棍使いは少し驚いたように目を見張ると、一瞬ためらい、しかしすぐに頷いた。
「お願いします。危なくなったら逃げていいですから」
「了解!」
そうと決まればマルバは短剣を構えると前衛のメイサーとスイッチした。
マルバは短剣使いにしては珍しく武器防御スキルをけっこう上げている。さらに盾ほどの防御力はないものの籠手を装備しているため見た目に反しそれなりに防御もできるのである。本来ならチャクラムの的確な一投や正確な短剣の一撃で敵を倒すこともできたのだが、マルバはひたすら防御に徹し、彼らに攻撃のチャンスを与え続けた。何故か、と訊かれればすぐに答えることは難しいが、おそらく先ほどのように非常識だと罵られるのが嫌だったからかもしれない。マルバはわざと一度も攻撃せずに彼らがモンスターにとどめを刺すのを見届けた。
戦闘が終わると彼らは歓声をあげて勝利をたたえ合った。ソロのマルバにとっては非常に珍しい光景である。戸惑いながら求められた握手に応じる。
そのまま流れで一緒に街まで向かうことに。まだジャイアントアント狩り終わってないんだけどな……と思うものの、そんなことを言ったら非常識と言われることになりかねない。
迷宮区から脱出し、主街区に到着したマルバたちは酒場で一杯やりませんかという棍使いケイタの誘いに乗り、一緒に祝杯をあげた。さすがにここまできてユキの存在を隠すのは無理なので、マルバはユキと一緒に自己紹介を終えた。彼らのギルドは『月夜の黒猫団』というらしい。
彼らは短剣使いが見事に前衛を務めたことに驚いていたらしく、非常に聞きにくそうにマルバにレベルを尋ねた。
「あのー、大変失礼なんですけど、マルバさん、レベルいくつくらいなんですか?」
「あー、うん、それなんだけどさ、その前にちょっと質問があるんだけど、いい?」
「はい?別に構いませんよ。なんですか?」
「敬語はなしでいいよ。それで……攻略組、ってどう思う?」
マルバは直球で聞いてみた。彼らは突然の質問に戸惑ったようだ。ケイタが口を開くまでに少し時間がかかった。
「
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