第三十九話
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「お前も、うすうすは気づいていたんじゃねーの? 日向寧々が好きだったのは、そこの月人だったってことだろう? なのにあいつは彼女の想いに答えてやらなかった。それどころかお前とくっつけようとしていたんだな。……付き合いだしたお前は、彼女にキスを求め、体を求めたんだろう? まあお前の事もそれほど嫌いではなかったから拒否はしなかっただろうけど。たた、お前とそうなる前にどうにかして月人との関係を、月人の気持ちをハッキリさせておきたかっただけだろう。だから、あえてあいつを廃校舎に誘ったんだろう。生徒ならすぐにわかる。そこに呼んだらもうやることは一つだからな。そして月人は来た。当然、彼女は自分を選んでくれたって思っただろう。それにキスまでしたしな。でもそこから先にはこいつが行かなかった。最後の最後で拒否されたんだ。それがショックだったんだね。だからどうでもよくなってたまたま来ていた、どうせ、覗きにでも来てたんだろうな。やけくそに如月と関係を持ったんだ。いや、もしかしたら襲われたのかもしれないな。どっちにしたって……やっぱり、月人が悪いんだよ」
「そんなはずない」
必死で否定しようとする。
「漆多、お前なら分かるだろう? 日向はお前の事を好きだから付き合っていたんだろ? それは間違いないだろう? 」
「そんなこと、お前に言われなくても分かっている。寧々が好きでも無い奴と、如月となんかするはずがない」
「日向は何も悪くないんだ。悪いのは俺なんだ。……俺があの時、断っていたら何も起こらなかったんだ。なのに俺は何もせずに行ってしまったんだ。すまん。彼女が死んでしまったのは俺の責任だ。……でも、彼女は蛭町が言うような子じゃないことだけは分かってくれ」
恋人だった寧々が誰とでも寝るような女だと思って欲しくなかった。そんな尻軽な訳がない。それを知っているのは俺と王女だけだ。
「月人、そんなに言うなら証拠を見せろよ、俺みたいに。日向が如月とやっちゃったという証拠は出そろってるぜ。なのにどうして、お前はそこまで言い切れるんだ? 」
「それは、如月が彼女を襲ったからだよ……」
一斉に笑い声が起こる。
蛭町とその仲間達が大笑いをしたんだ。
「ぎゃははは、そんなことあり得るのかな? みんな知ってるだろう、如月はチビでやせっぽちで運動音痴な格好のいじめられっ子だぜぇ。女だって喧嘩したら負けるわけないぜ。おまけに俺の仲間がどつきまくったりして肋骨にヒビが入ってたはずだから、ちょっと叩いたら転がり回って泣きわめくはずだぜ。ははは。そんなのがどうやってレイプなんかできるんだ。漆多、お前だってそう思うだろう? 」
と言って蛭町は見る。
「……ああ、如月なんかが例え不意打ちをしたって寧々を襲える訳がない」
あきれた様な瞳で俺を見てきた。
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