第2章 反逆の少女たち
第15話 敗北の魔女
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流されてしまったユーリは、衣類の端を絞り上げていた。
衣類が全部ぬれてしまい、多少は不快感を感じるが、大して問題じゃない。問題があるとすれば、2点ほど。
「うーむ……まさか、あそこまで早い魔法とはな。……発動すれば、基本的には防御不可が魔法だからな……」
フード部分を取り払って、それも絞り上げ水分を抜く。
1点目の問題点、それは予想以上の使い手だという事だ。中級の魔法を無詠唱で放てる。おまけに連発でもされれば、近づくのだけでも大苦労だ。一気に間合いを詰めて攻撃すれば、魔法使いの特性上なんとかなるとは思う。が……、それはあくまで戦士の戦法での攻略法だ。
別に方法が無いわけではないが……、妄りに使うのもどうかと思っていたのだ。
「でも、その前に この扉があかないんだよな」
ユーリがいる場所は先ほどのマリアがいた研究室前。
戻ってきてみたが、扉は閉まっており叩いても反応は全く無い。……あれだけの集中力だ。ノックしても聞こえているとは到底思えないのもある。魔法の力の様なものはまるで感じないから、恐らくは機械仕掛けだろう。
「……まぁ、進入は追々考えるとして、後はランス達だな」
2点目の問題点。
それはランス達の行方だ。流されてから2人とはまだ合流出来ていない。
「ったく……、あの男は」
ユーリは苦言を呈していた。
それは遡る事数十分前。
「ぬがああああ!」
「きゃあああっ!!」
「ッ!!!」
激流に流されてしまう3人。
ユーリは、煉獄で剣に闘気を纏わせていた力を一気に解放し、地面に突き刺した。そのおかげで、より遠くにまで流されずに踏ん張る事が、出来たのだ。
「っよし。シィルちゃん! つかまれ!!」
「ゆ、ユーリさんっ!!」
シィルはユーリの手を?み、何とか流されるのを堪えていた。
水の流れる速度は速く、気を抜けば一気に身体ごと持っていかれそうだ。だが、比較的力の弱いシィルは頑張って堪えていたのだが…。
「オレ様も助けろぉぉ!!!」
やや遅れて流されてきたランス。
ユーリは、片方には剣を、片方には、シィルの手を掴んでいる為、あいていない。
シィルも両手で必死にユーリの手をつかんでいるから、そんな余裕は無い。だから、ランス自体がユーリなりシィルなりを?めば流されないかもしれなかったのだが……。“がしぃ!” っとランスが?んだのは、シィルのスカート。
当然、ランスを支えるだけの強度もあるわけもなく、激流に耐えられるわけでもない。あっという間に、びりびりっ!!っと破れる音がして……。もう少しで、あわや下着が露になる所で。
「あっ!!」
「きゃっ! ら、ランス様っ!!
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