第2章 反逆の少女たち
第15話 敗北の魔女
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く見えないくらいの霧の様なものが沸き起こっていた。
「っっ! こ、これは水蒸気……あ、今使ったのってひょっとして……!」
「ご明察。蒸発の実だ。……オレも彼女に会ってな?」
「む? ネイちゃんの事か? がはは! 涙ながらみオレ様に感謝していただろう。何せ助けてやったのだからな」
「180度、逆だ馬鹿。……おかげでオレまで恨まれそうになったわ!」
「がはは! 中々グッドだったぞ!」
ランスは何も聞いていない。それもいつも通りだ。そして、その後3人で干上がった湖を捜索していると。
「あっ! ありましたーーっ」
シィルが声を上げた。
どうやら、湖の中心辺りにあったようだ。……水があった状態なら幾ら時間があっても無駄だろう。
「よしよし、偉いぞシィル」
「ナイス」
2人でシィルの事を褒めていた。シィルは照れくさそうに頬を染めていた。
「む!! おい! 何シィルに色目を使っているんだ!」
「あほ。誰が使うか。それにそんなに大切に想ってるんなら、もっと大切に、それにやさしくしてやれよ」
「ぁ……」
「馬鹿者! シィルはオレ様の奴隷と言うだけだ! そんなのではない!」
ランスは勢い良くそう言っていた。……無理矢理大声を上げて誤魔化しているだけの様な気もする。
素直じゃない男だやっぱり。シィルは照れくさそうに頬をほんのり赤く染めていた。
「よし! これでその第二研究室とやらにいるマリアを叩きのめしにいけるな!? ぐふふ……」
ランスはイヤらしい笑みを浮かべつつ舌なめずりをしていた。
そんなランスを見たらナニを考えているのか、想像しているのかがよく判る。……別に判りたくは無い。
「ぁぅ……ランス様……」
シィルも判っていたようで、ちょっと落ち込んでいる様子だった。
そんなシィルの肩を軽く叩いたのはユーリだ。
「アイツの考えは手に取るようにわかるよな? それにあの性格は直らないだろ。……でも、判る事はある。アイツがシィルちゃんを大事にしてるって事だ」
「っ……」
「でも、いつか……。しっかり、シィルちゃんが根気強くランスに付きっきりでいれば、変わるかもしれないな?無責任な事しか言えないが。……頑張りなよ」
ユーリはそう言って笑った。
その笑顔……本当にかわい……じゃなく、安心できる。
「はいっ! ありがとうございます。ユーリさん」
シィルはそう言って笑顔になっていた。
同時に、思う所もあった。決して口には出さない。
それは、ひょっとしたら、自分がランスと出会わなければ、この人に先に出会っていればと言う事……。
たられば話をするつもりは無いけれど、きっとこの人を好きになっていたかもしれない。いや 好きになって
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