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ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第15話 敗北の魔女
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もんだから。ありがたく頂くよ。んぐっ、んぐっ、んぐっ……」

 女冒険者は、元気の薬のビンの蓋を開けて一気に飲み干した。
 どうやら、喉も渇いていたようだった。

「ああ、落ち着いたんなら教えてもらいたいが、他のメンバーはいないのか?」
「……私以外のメンバーは行方知れずになってる。私達は水の彫像に負けて散り散りになってしまったわ。……生きてくれればいいけんだけど」
「水の彫像……。ガーディアンか」
「ええ……、その通りよ。恐ろしく強いし、その上に2体もいる。……全滅するのは本当にあっという間だったわ」
「全滅……か」
「……ああ。皆、無事だったら良いんだけど」

 ユーリの言葉に顔をゆがめていた。恐らく以前に来た冒険者達の事だろう。1人だけでも助かっているのは、僥倖だといえるが。それでも、死者がいる可能性が俄然と増してきた。それ程の相手だからだ。……ガーディアンと言う存在は。

「……ああ、そうだった。遅れたがオレはユーリだ。同じ冒険者だ」
「ユーリか。私はネイ。ネイ・ウーロン。今回の依頼受けてから とことんついてないって思ってたけど、ユーリのおかげで、気が変わりそうだよ。アイツ……次にあったら 絶対に地獄を見せてやる」

 ネイは盛大なため息をしつつそう言っていた。

「?? ……アイツ? って、まさか……」

 ユーリは、ネイの姿を再びみた。
 ガーディアンと戦った割には、傷らしい傷は特には無い。……が、衣類の乱れは見受けられる。そして、最初に合った時、明らかに怒気で満ちていた。
 つまり……。

「まさかとは思うが……、オレと会う前に誰かと会ったのか?」
「ッ!!」

 ネイはあからさまに怒りの表情でユーリを見ると、距離を取った。

「……まさか!? お前もアイツの……ランスの仲間か!?」

 警戒しつつ、剣を抜き出し構えた。

「アイツ……わ、私に……私にぃぃぃ!!」

 半ば半狂乱になって剣を握り締める強さを上げた。
 ……何があったのか、見て無くても手に取るようにわかると言うものだ。恐らく……、戦いに敗れて傷ついたネイをシィルが癒した。それを対価に、ランスにヤられたんだろう。

「はぁ……、全力で否定したいが、そう言うわけにも行かないな。……確かに今は手を組んでいる。大体の想像はついた。想像もあまりしたくないが」
「きぃぃ!! アイツの仲間とわかったのならここで会ったが百年目だ!!」
「おいおい……、恨むのはあいつだけにしてくれよ」

 ユーリは、多分こういうのは今後も続くのだろうな、と思いつつ苦笑いをしていた。そう、あの時は確か知らないところで自分が恨まれる羽目になったが、今回は違うようだ。
 と言うか見ず知らずの男をいきなり恨むなよ……と思う。

 
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