第2章 反逆の少女たち
第15話 敗北の魔女
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うだ。突然消していた筈の灯りが点いたのだから。スイッチは、部屋の入り口にあるから、そっちの方を見ると、そこには四魔女の一角である《エレノア・ラン》が腕を組んで立っていた。赤い髪を背中にまで伸ばしていて、落ち着いているその様子は何処か大人びた雰囲気を生み出していた。
だが、次には呆れるようにため息を吐く。
「全く……。ミル? 部屋を暗くして遊んでたら目が悪くなるわよ?」
「はーーい、ごめんなさ〜〜い!」
部屋の奥にいた少女。こちらも四魔女の一角である《ミル・ヨークス》
ぺろりと舌を出して謝る。その仕草から、随分と歳下の様に見えるのだが、容姿は同じ位に見える。
「それになーに? その変な喋り方」
「漫画で読んだのを私なりにアレンジしてみたの。どぉ? 格好いい??」
「さてね? でも、幻獣はただ立ってるだけでしょ? 全部1人で喋ってるし、声色も全然変わってないから、違和感ありまくりよ?」
「えへへ……、そこはあれだよ。乞うご期待ってことで」
「しないしない」
ランは苦言を呈す。
だが、幻獣達はミルに合わせて首を振っていた。喋る事はできないが若干の意志は持っているようだ。……だが、如何せん姿が醜悪だ。青白い身体にギョロリとした目玉。まったくと言っていい程、可愛らしさのかけらも無い。
「はぁ……、思ったんだけど、これはどうにかならないの?」
「えっとね……、指輪の力を上手く制御できなくて、こんな容姿になっちゃうんだ。ん〜私も前の幻獣さんの方がいいからね。頑張って制御してみせるよ?
「それは良いことって思わなくも無いけど、ファンシーなのが戦闘するのも……でもま、これよりは良いかな……。ってそれより!」
ランは、幻獣の事を言っていたが、まだ言いたい事があったようで、話題を変えた。
「マリアを勝手に最弱にしたり、冒険者に負けさせたりしちゃ駄目よ。ちゃんと後で謝っておきなさいよ」
「はーい!」
ミルは手を挙げつつ元気良く返事をする。
まさか、夢にも思わないだろう。今まさに、その設定上の物語を演じている時にマリアが冒険者に負けていると言う設定通りになっていると言う事は。
「あ、でもね? 演出上でもマリアが最弱ってわけじゃないんだよ?」
「え? どういうこと?」
「ん〜、だってね、残ったいかにもって感じの3人だけど」
ミルはにやりと笑って言う。
「あっさりと負けちゃうんだ。瞬殺ってヤツかな? で、因みに、一番善戦したのがマリアの役なの〜」
「……あまり影響良くないわ。もうそんな漫画読むの止めなさい」
親の心がわかって気がするラン。
ミルは大きな大きな子共だと言う事だろう。
だが……
とても不吉な予言に似たことをミルは言っていたのだった。
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