第2章 反逆の少女たち
第15話 敗北の魔女
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大な水の滝を繰り出した。
だが、この技は3度目であり、受ける筈もない。その程度ならマリアはわかっていそうだが。
ユーリはこの時、マリアの目を見た。細く……薄めている。そして口元が高速で動いていた。
明らかに詠唱をしている。迫撃水のものではない。
つまりは……。
「迫撃水は囮か!」
「ご名答!」
マリアは叫ぶように言うと、両手を掲げた。
「そんな、あ、あれは上級魔法です!! いけませんっ ランス様、ユーリさん! 避けてください!!」
シィルはその魔法の正体をつかむと、叫びを上げた。
今まで飛んできた魔法が可愛く見える程の魔法がもう直ぐにやってくるだろう。なぜなら詠唱を唱え終えており、巨大な水の塊。が現れたのだから。部屋そのものが吹き飛びかねないものだ。
「この一瞬で私の意図に気づいたのは見事だけど、もう無理ね。その全身の骨を粉々に砕いてあげるわ!! 死ね! ウォーターミサイル!」
マリアの両手から強大な鈴の塊が撃ち出された。魔法の特性ゆえ、速度は先ほどまでの水雷には及ばないが、これは極限にまで圧縮された魔力を帯びた水の塊。逃げ場も無く直撃でもすれば、全身の骨が粉々どころか、人としての形すら留めない可能性も十分ありえる。
だが……。
「……」
その強大な力の前に立っているものがいた。
「ユーリさん!?」
「馬鹿者! 死ぬ気か! まだまだ働いてもらわねばならんのだぞ!?」
思わず声を上げてしまう2人。だが、ユーリは軽く首を振る。
「大丈夫だ。俺があれをとめたら駆け抜けろ」
「そ、そんな! 上級魔法を、お1人でなんて危険ですっ!」
「……シィル! 来い!」
「きゃっ!!」
ランスは、シィルをひっぱり後ろへと飛ばした。シィルは思わず、尻餅をつく。
「ら、ランスさまっ!?」
「アイツが出来ると言っているのだから任せるのだ!」
「ああ、任せろ」
「ふん! 何する気かしらんが、絶対に成功させろよ!? 成功させても死んだら罰ゲームだ! 貴様の童顔を全世界に配信してくれる!!」
「……ふはっ!! 余計に力が入るってもんだよ! 誰が童顔だ!!」
その声と共に、ユーリのフードが完全に取れる。黒髪と共に、彼の顔が露になった。
「っっ子共! でも、関係無いわ! この指輪を奪いに来る者には死あるのみよ! 死ねぇぇ!!」
「だから、誰が子共だ!!!」
ユーリは剣をその水の塊に根元まで突き刺した。だが、その程度では止まらない。否、その衝撃で四肢の全てが削がれ、潰れかねない威力。
……のはずだが。
「……見。俺に何度も見せた。それが悪手だったな!? マリア!」
魔法が……徐々に収縮。小さくなっていくのだ。ありえな
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