暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
想いの交差点
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
までの経験則だった。

「教会を放っておいたわりには、ずいぶん気前が良いな」
「ええ。私も、それなりの処罰は受けるつもりだったんですけどね。友人がかなり頑張ってくれていたようです」

 その分、後が怖い。
 なんて思ってから、善意には素直に感謝するべきであろうと。
 プリシラに対する自分の考え方を恥じる。
 が、やっぱり怖いと思って、苦笑いが止まらない。

「教会への対応はロザリアを取り戻してから考えるとして。昼間は、商隊の馬車を借りるか、歩きで戻りましょう。跳躍が一番速いのですが、速すぎる移動は関所に残る記録が不自然になってしまいますし、移動中の姿を人間に見られるのは大問題ですからね」
「面倒くせえ」
「夜までは我慢してください」

 ベッドの上でダラダラと転がっているベゼドラにも苦笑しつつ。
 窓際に置いてあった植木鉢を、そっと手に取る。

「私はクロスのコートの内ポケットに入っていれば良いのね?」

 花弁の上に座っていたリースリンデが、こてん、と小首を傾げ。
 精一杯腕を伸ばして、コートにしがみつく。
 ポケットに入ってから顔をひょこっと出し「ありがとう。元気でね」と、植木鉢の花に手を振った。

「ありがとうございました」

 そんなリースリンデにならい。
 クロスツェルもお礼を言ってから、サイドテーブルの上にそっと戻す。
 彼を見上げるリースリンデが、嬉しそうに微笑んだ。

「では、行きましょうか」

 目指すは、西隣の国にあるらしい『静謐(せいひつ)の泉』。
 数千年の間、アリアが眠っていた場所。
 現在もアリアが居るとは思えないが。
 万が一の可能性と情報を求めて、三人は王都を旅立った。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ