第2章 反逆の少女たち
第13話 彷徨える親心
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ィルはランスのマントをぎゅっと握り締めつつ、ランスの背後に隠れて震えた。
ランス自身も、流石に動揺したのか、抱きつくシィルに何も言わずそのまま、その青白い男から目を離さなかった。
そして、ユーリは警戒はしなくていいとは言われても、そんな簡単に警戒を解くわけにはいかず、剣を持つ手に力を入れる。アストラル系のモンスターとは何度も戦っているが、この奇妙な部屋でいきなり背後から出てきたから、警戒しても不思議じゃないだろう。
ラギシスは、確かに死んだ筈なのだ。町の住人も言っているし、町長もそう言っている。
「幽霊……と言うわけか。リーザスの屋敷で見たラベンダーとよく似ている」
「なにぃ!! ラベンダーちゃんとこんなむさ苦しい中年男を一緒にするんじゃない!」
「……いや、外見じゃないって」
「むさ苦しくて悪かったな……」
「あぁ……オバケと普通に話、してるです……」
シィルは、まだ怯えているようだが、ランスとユーリはもういつもに戻っていた
この世に未練を残した人間が現世に留まり霊体となってしまうのは、珍しいことではあるが、ありえない事例でもない。現に、ユーリ自身もラベンダー以外にも経験はあるし、ランスもラベンダーの事をはっきりと覚えている。
「まあ、ラギシス氏の顔写真を見たわけじゃないがな。状況から考えてその可能性が高いようだ。お前が4人の魔女に殺された本人、間違いないんだな?」
「いかにも……、お主達は、このカスタムの住人ではないのだな?」
「ああ」
ユーリは、そのままラギシス?に問いかけると、直ぐに返答が返ってきた。
嘘を言っている様にも特に見えないし、何よりも言う意味が無いとも思えるのだ。
「成程……、となれば、選択肢は限られてくるな。お主達は雇われた冒険者……ということか?」
「その通りだ! オレ様こそが超英雄。史上最高にして、最強の戦士、ランス様だ! こっちが「じょ、助手のシィルです。ポカッ!!≠ミんひん……」誰が助手だ、誰が! ええい、いい加減 離れんか!」
「やれやれ……、この男は基本こうだ。こいつの行動制限など、出来ないと考えてくれないか?」
「む、むぅ……」
ラギシスは何処か、納得のいかない様子だが……、行動については実は、家に入った時から見ている。……その言葉に嘘は無いだろうと、ランスの事はとりあえず置いといて、話をはじめた。
「……頼む。どうかこの町を救って欲しい。私にはもう、身体がない。……力もないのだ」
最初の苦言が嘘の様だった。
他人に頼むしかない申し訳なさと悔しさと無念。その全てが彼の表情に出ていた。そもそも、幽霊となって留まるほどだ。並大抵の未練じゃないのだろう。
だが、幽霊に出来るのはただ、思いの強い場所に留まる事くらいなのだ
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