第二百二十二話 耳川の戦いその五
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「一体」
「はい、やはりです」
「ここで鉄砲jは構える間に撃たれます」
「ですからここは」
「そうじゃな、やはり弓矢か」
「そうすべきかと」
弟達は義久に一斉に答えた。
「やはり」
「では、ですな」
「ここは弓矢にしましょう」
「何としても攻めましょう」
「島津の戦いを見せてやるのじゃ」
是非にというのだ、そして実際にだった。
義久は鉄砲を撃つ間に逆に撃ち返されるとみると兵達に怯むなと言いつつだ、弓矢も放たせた。そしてだった。
鉄砲と弓矢の援護の下でだ、さらにだった。
「よいか、さらにな」
「はい、鉄砲と弓矢だけでなく」
「さらにですな」
「槍を使い」
「そして刀で」
「斬り込むのじゃ」
それもせよというのだ。
「よいな」
「では一丸となりですか」
「斬り込み」
「そしてそのうえで」
「引き分けにもですか」
「持ち込み九州を手に入れるぞ」
その全土をというのだ、そしてだった。
その中でだ、彼等はだった。
実際にだ、まさに全軍矢となりだった。
駆けつつ鉄砲と弓矢を放ちだ、そしてだった。
凄まじい雄叫びをかけて織田の軍勢に突っ込んだ、足軽が多いがそれでもだ。その迫力はまさに全ての者が鬼となったものだった。
その鬼がだ、織田家に突進して来た、義久は自ら采配を振るいつつ叫んだ。
「後ろは川じゃ!」
「はい、退けませぬ!」
兵達もこのことはわかっていた。
「進むしかありませぬ」
「勝つしかありませぬ!」
「生きる為には!」
「そうじゃ、薩摩隼人には敵に背を向けることはない!」
それは決してというのだ。
「だからじゃ、よいな!」
「はい、勝って生きる!」
「それだけです!」
「勝ちましょうぞ!」
「何としても!」
「そうじゃ、生きるのじゃ!」
こう自ら突っ込みながら叫んでだった、島津はまさに一丸となった攻めに入った。その島津の軍勢を見てだった。
信忠は己の唾液を飲んだ、しかし。
それは一瞬でだ、こう命じた。
「手筈通りじゃ」
「はい、では」
「包み守り」
「そして疲れたなら後ろに下がる」
「そうして戦いますな」
「長槍は前に突き出すのじゃ」
鉄砲と並ぶ織田家の主な武器であるそれをというのだ。
「そして鉄砲と弓矢は休まず放て」
「攻めませぬな」
「陣を崩してはならん」
決してというのだ。
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