第4話「破壊狂は敵を前にして世界を詩う」
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モンキーレンチで身体を勢いよくド突かれ、双葉は再び倒れこんでしまう。
それでも敵意を向けてくる彼女に、グラハムは諭すような口調で言葉を紡ぐ。
「勘違いしてるようだから言っておくが、オレはアンタを殺す気はない。というよりオレは人を殺さない。形のない見えない触りもできない『命』を壊しても実感が湧かないし、あんな虚しい思いはこれ以上この上ない事で、それは女に手を挙げても同じだが――」
“ガン”
「ぐっ」
「決して何も感じないわけじゃない」
さっきとは別の錆びついた鉄パイプに伸ばしかけていた双葉の手を、モンキーレンチで押さえつけてグラハムは告げる。
「そう。オレは人を殺すのは嫌いだし女を殴るのも好きじゃないが、快感は生まれる」
狂った道化師のような笑顔が双葉の眼前に広がる。
「なので久しぶりにあの『快感』を味わってみる為に惚れた女を壊して楽しむのも悪くない!」
一本の巨大なモンキーレンチを輝かせる姿は、まさに銀の棒を手にした蒼い鬼。
鬼が握る銀の棍棒は双葉めがけて振り下ろされた。
“ガゴン”
廃倉庫に響いたのは骨が砕かれる音――ではなく別の物によって阻まれた音。
身構えていた双葉は、身体に想像していた衝撃と痛みがないことを疑問に思い、瞳を開いた。
目の前には大きな背中があった。まるで自分を護るように立っていた。
太い木刀を盾にして鬼の一撃を防いだのは、彼女と同じきらめきを持つ銀髪の青年。
「兄者!?」
木刀越しに睨みつけ僅かに苦笑しながら銀髪の青年は――銀時はグラハムに言う。
「おいおい兄ちゃん。モンキーレンチってのは、人に向けて遊ぶモンじゃねぇって教わんなかったのかァ!」
突然の銀時の乱入にグラハムはおろか双葉も目を見開いて驚いた。
ただグラハムだけはその驚きを子供のような喜びに変えて楽しんだが。
「おお!なんだ!?銀髪の人間がまた一人現れたぞ。しかも今度はグルグルだ。なんでこんなにグルグルしてるんだ。まるで鳥の巣みたいだな」
「オイィィ!テメーあいさつ抜きでいきなり天然パーマ馬鹿にしやがるとはいい度胸してんじゃねェか!かぶき町流のマナー叩きこんでやろうかァ!」
額に図太い血管を浮かべて叫ぶ銀時。
だがグラハムは好奇心に溢れた笑顔であちこち跳ね上がった銀髪をまじまじと眺める。
「鳥の巣頭なんて初めて見たぞ。お前はそのグルグルの毛で卵を暖めてるのか。ということは、その頭からは新たな生命の誕生が起きるかもしれないってわけだな」
「コラァ!人の話聞け!!」
「天は髪の上に小さな命を宿すとは、なんと奇妙奇天烈で神秘的な話だ」
「全然人の話聞いてねぇな!少しは人の話を聞きやがれェ!!」
怒鳴って銀時は木刀でご機嫌に笑うグラハムを押しのける。
対するグラハムは後ろへ跳ねてドラ
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