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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
炎夏と暗幕
第百二十幕「重力に引かれたこころ」
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しく胸を打つ鼓動が、うずうずするような高揚を更に加速させる。恋する乙女のように、これから訪れる人生最高の瞬間が愛おしくてしょうがない。
『クイーン・メアリ号』。ISと一体化して運用することを前提に設計され、その全高は宇宙ステーションを打ち上げるにも拘らず全長約10メートル、重量僅か1トン程度でしかない。最大の特徴は、従来の宇宙船がロケット推進で大気圏を突破し、そのロケットを切り離して漸く宇宙船としての活動を始めるのに対し、『クイーン・メアリ号』は単独での大気圏突破、及び突入が可能な点にある。
これは、同時に世界初のIS搭載宇宙船であることをも意味し、スキンバリアー技術とPIC技術の応用によって従来考えるべき数多の問題を解消したことをも意味する。
構想は何年も前から存在した。セシリアも加わり、国が本腰を入れてからは加速度的に開発が進み……そして最後に連合王国の熱意はとうとう篠ノ之博士にまで届いた。約1か月程前、行方知れずである筈の博士から「お墨付き」が送られてきたという。詳しい内容は(口調があんまりなんで)伏せられたが、現状でISによる有人宇宙飛行は可能であるとの旨が示されたのだ。
『クイーン・メアリ号』の最大の懸念である「人が乗らなければ機能が維持できないため、テスト運用が不可能である」という点が解消された瞬間だった。もう、この国はISを宇宙で使う事を待てないのだ。
宇宙。
そこに、これから行くのだ。
あらゆるしがらみから解放され、新たな世界を――IS操縦者と宇宙飛行士の融合した新たな人類のステージの端緒を開くのだ。オルコットとしてでも貴族としてでもない、宇宙を目指した「セシリア」ちして。例えこれが本国からすればパフォーマンスで、パイロットがセシリアである必然性のないもので、従来の宇宙飛行士に比べて求められる仕事量が圧倒的に少ないのだとしても。
セシリアは夢に旅立つだけではなく、これから続くであろう未来を照らす一番星になって輝くのだ。
世界のどこかで、この光景を友人たちも見ているだろうか。
この光景は全世界に生放送されている。発射場は連合王国の警備の下、世界中の主要なメディアと未だ根強く宇宙開発へのロマンを抱く人々、世紀の光景を見逃すまいと集合した人々が集まり、大騒ぎになっている。ならば、他の皆にもこの光景が届いているかもしれない。特につららとか。
しかし、つららには念を押して付いてこないように言っておいたので流石に直接見に来ている事はない筈だ。なお、付いてこないように言った理由は、両親のことや仕事の関係で一緒に行動する時間が皆無に等しいからである。そのことを伝えると彼女は渋々イギリス行きを諦めた。
と、管制から通信が入る。
『こちら管制室。調子はどうかな、お姫様?バイタルチェ
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