4部分:第四章
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第四章
「これがまたな」
「楽しいの」
「ああ、楽しい」
「そんな子供みたいな遊びが」
「いやいや、ビールを賭けてるからな」
奥さんにこのことも話します。
「勝った方がビールを飲めるんだよ」
「だからやってるの」
「ビールはわしが飲む」
農夫は決意している顔でした。
「絶対にな」
「何かと思ったらそれなの」
奥さんは御主人のその言葉を聞いて困った笑顔で言いました。
「全く」
「悪いか?」
「悪いとは言ってないわ」
「けれどその顔は」
「少し呆れてるのよ」
「そっちなのか」
「全く。何かと思えばビールなのね」
こう言ってです。その呆れた顔でまた言うのでした。
「何かを賭けてるんじゃないかって思ったけれど」
「命とかは賭けてないぞ」
「それでビールなの」
「ああ。それだと安心するだろう?」
「まあそれはね」
命のやり取りみたいな危険なものじゃなかったらいい、奥さんは心のそこからこう思いました。けれどそれでもあえて言うのでした。
「それでもね」
「呆れるか」
「本当にビールが好きなんだから」
「向こうもビールが好きみたいだぞ」
「妖精もなのね」
「ビールは友だ」
こうまで言います。
「だからだ。絶対に勝ち取るからな」
「まあ頑張ってね」
奥さんはこう御主人に言います。そうしてなのでした。
次の日もまたその次の日もです。農夫とトロールは謎比べをしました。しかしそれでもです。決着はつかないままなのでした。
それが続いてです。やがて一年になりました。
その頃にはです。農夫はこんなことを言うようになりました。
「さて、明日もだな」
「明日も謎比べね」
「ああ、するぞ」
晩御飯を食べながら奥さんに言います。樫の木で作った頑丈なお家の中で同じく樫の木のテーブルに座ってです。あったかいスープにパンを食べながらです。奥さんに話すのです。
「明日もな」
「そしてその明日もね」
「ああ、やるさ」
楽しげな顔での言葉でした。
「それからもな」
「そうなの。それじゃあね」
「ああ、楽しみだよ」
「そうね。楽しんでるわね」
夫のその顔を見てです。奥さんも笑顔になっています。
「それはいいことよ」
「さて、あいつは」
トロールのことも言うのでした。
「明日はどんな謎々を出してくるかな」
「それも楽しみなのね」
「かなりな」
こう話します。
「そしてわしがそれを解くんだよ」
「そうしていくのね」
「そうさ。じゃあまた明日な」
「楽しんできてね」
こう話すのでした。農夫は謎比べが楽しくて仕方ないようになってきていました。そうしてその次の日の謎比べに心を向けるのでした。
その次の日です。お昼にでした。
お昼御飯を食べて一息つ
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