いつか見た姿
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今日も収穫は無し。
人通りが多く、手入れも十分に行き届いてる王都の周辺。
ここじゃ、当初の見込み通りアリアの目撃情報は期待できなさそうだ。
もう少し遠くへ足を伸ばしてみるのも良いかも知れんな。
「？ なんだ、ありゃ」
空の色が赤から紫へ移り変わろうって頃に。
三人の子供が、広場で棒切れを片手に叩き合ってる。
剣？ ……の、つもりらしい。
「えーい、この！ 悪者めー！」
「こしゃくな勇者め！ この魔王さまが返り討ちにしてくれるわー！」
「勇者さま、お下がりください！ ここは私が！」
「…………ふーん」
要するにあれか。
チャンバラごっこ？ とかいう、人間の子供にだけ流行るお遊び。
平和な場所でしか見ない、平和ボケの象徴みたいなヤツ。
倒してやるとか言いつつ、けらけら笑ってやがんの。
アイツらが言ってる勇者とか魔王とかは、どうやら勧善懲悪を主題とした劇物語から来てるようだが。
そういう名称だけは、現代まできっちり引き継がれてるんだよな。
作家もアイツらも、魔王がマジで実在するとは欠片も思ってないだろう。
「……人間が考えることは、本当にバカバカしくて面白い」
そういやアイツも、初めはそういうバカの部類だったな。
「なんだ？ また来たのか、お前。よほど退屈してるんだな」
「ああ。凄く退屈しているんだ。だから、どうにかお前の魂を喰えないか、考えるのが楽しいんだよ。なあ、欲しい物とかないのか？ 金とか女とか。豪邸でも、なんだったら一国一城でもいい。何だって用意してやるぞ？」
「そりゃあ、ご期待に添えなくて残念。俺は、悪魔に分けてやれる物こそ、何一つ持ち合わせてないんだよ。欲しい物なら自分の力で手に入れるし」
「ケチ臭い奴」
「ははっ。人の命を奪おうとしてる欲張りな奴に言われてもな」
太陽みたいな金色の短い髪を揺らして笑う、強い男。
俺が見つけた、最上級の魂を持つ人間。
見かけは十代の子供だが、精神の堅さは子供の域を遥かに超越した……
いわゆる、生意気なクソガキ。
アイツはどんな大人よりも強く賢く、そしてバカだった。
「お前の魂は類を見ない輝きに満ちてるんだ。俺じゃなくても欲しがるさ。けど、他の奴にくれてやるなんて滅茶苦茶勿体ないじゃないか。顔見知りの特権ってことで、俺にくれ」
アイツは俺が悪魔だと知ってて、だから何か？ と始終澄まし顔だった。
人間に実害を及ぼす悪魔を相手にカラカラと笑うアイツは、ちょっと頭がおかしいんじゃないかと、初めは疑ったものだが。
なんてこたぁない。
アイツは、俺個人を敵として見てなかっただけだ。
悪魔だから。
人間だから。
アイツにとってそれは、前日の夕飯
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